元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」

2010-07-09 06:40:11 | 映画の感想(は行)

 (原題:The Hangover)本国アメリカでは大ヒットし、ゴールデングローブ賞も受賞しているというコメディだが、大して面白くもない。その原因はまずネタの練り上げ不足。そして第二に演出テンポの悪さだ。

 結婚式を2日後に控えたダグのため、悪友たち3人が用意したのはラスベガスの高級ホテルのスイートを借り切ってのバカ騒ぎだった。まずはホテルの屋上で乾杯したまでは良かったが、これより先の記憶は彼らにはない。翌朝ヘヴィな二日酔いと共に目を覚ました3人組は、メチャクチャに散乱した部屋と、洗面所に居座る一頭のトラに遭遇する。そして肝心のダグの姿が消えていた。彼らは激しい頭痛に閉口しながらも、行方不明になった花婿を捜し回るハメになる。

 実は最初に飲んだ酒の中にタチの悪いドラッグが混入していたという説明があるのだが、これ自体があまりスマートではない。ドラッグなんてほとんどの観客には縁がないのだ。ここはたとえば彼らが元々極度に酒癖が悪く、長い間自重していたが花婿の壮行会で思わずハメを外してしまったという設定の方が、より広範囲にアピールできたはずだ。

 トラの持ち主はマイク・タイソン(本人)で、主人公達がタイソン邸に侵入して勝手に盗んできたものだが、どうして無事にトラを持ち出せたのか判然としない(笑)。あと、チャイニーズ・マフィアだのヤクの売人だのも絡んでくるのだが、ハッキリ言って驚くような展開ではない。酩酊した勢いでストリッパーと結婚した奴が出てくるとか、警察の横暴ぶりに悩まされたりといったプロットも、まあ“想定の範囲内”だ。なぜなら、そこはラスベガスだから(爆)。

 この24時間眠らない世界有数の歓楽街においては、まさに“何でもあり”なのだ。こういう“何でもあり”の街の中で田舎者がどんなに狼藉をはたらこうが、全然目立たない。舞台をニューヨークやシカゴなどの、ラスベガスよりはいくらか“カタギの街”に置いた方が数段良かったのではないか。終盤近くに明かされるダグの居場所も、まるで工夫がない。

 トッド・フィリップス監督の仕事ぶりは冗長で、何よりネタの振り方がヌルい。もっとリズミカルにギャグを繰り出さないと、ネタ自体の面白く無さをカバーできない。ブラッドリー・クーパーやエド・ヘルムズら出演者陣もあまり魅力がない(別に彼らじゃなくてもいい役柄だ)。

 わずかに印象に残ったのはストリッパー役のヘザー・グラハム。久しぶりに見るような気がするが、相変わらずキュートながら寄る年波には勝てず(もう40歳だし)、少し容色が衰えていたのは残念。今後は年齢相応の落ち着いた役柄もこなして欲しい。
コメント
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