気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

天然の美 橘夏生歌集

2005-07-05 22:19:56 | つれづれ
なだらかな雲の波なるアルペジオわがために来し夏ぞとおもふ

うつそみのをみななるわれうとましく今朝くれなゐの罌粟散るを聴く

父死にし齢(よはひ)にじよじよに近づきて冷し素麵に生姜をおとす

あかねさす昼食(ひるげ)の粥に塩おとしつかのまおもふ海にふる雪

悦楽の悦といふ語に兄といふ文字みつけたる夏のいもうと

(橘夏生 天然の美 雁書館)

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短歌人誌「わたしは誰でしょう」の賞品として、橘夏生さんの歌集をいただく。
軽快耽美派といわれる夏生さんの美意識の原点を見る思いで歌集を読み始める。

関西短歌人会では、何度もご一緒しているが、私自身が短歌に関わるまでは彼女のようなタイプの女性を知らなかった。初めて歌会&二次会に出た三年前、橘さん大橋さんの会話に驚いた。

「死ぬまでは父と娘やゆるされて雲の名前を数へあひたり」・・・これは先月の歌会での夏生さんの歌。余談だが、これを聞くたびに涙が出る。もうパブロフの犬。


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