気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2011-11-07 21:50:54 | 朝日歌壇
濃みどりのつやと曲線とに憑かれ吾子は眠れりピーマン持ちて
(沼津市 木原ねこ)

お化粧をされて美(うる)わし友の顔会えずじまいの月日を悔やむ
(飯田市 草田礼子)

目が合ふて黙すほかなし深秋の夫、妻でなく二人の初老
(新潟市 岩田桂)

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一首目。子供がピーマンを食べ物としてより、面白い形のおもちゃとして離さないまま眠ってしまったのだろう。なかなか個性的な審美眼。それを見る作者の目も鋭く優しい。
二首目。上句だけ読むと、結婚式の場面かと思ったが、亡くなった友との別れの場面。短歌の短い一行のなかで、ダイナミックにドラマが展開する。
三首目。初老という年齢になると、夫と妻というより「同志」としてお互いを見るのだろうか。これがあるべき姿かもしれない。両方が「初老」だと思っているのならそれでいいが、どちらかがまだそう思っていない場合もある。
初句の「目が合ふて」は音便で「目が合うて」が正しいと思うが、どうだろう。

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