気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

霜月祭  筒井早苗歌集

2010-11-25 15:33:52 | つれづれ
ほろほろと縁どりほぐれ白雲は漂ふ日暮のびたる空に

昂りしことも鎮まり独りなる思ひ濃くなる  死ぬときはひとり

信号の青が続きて佳きことの待つや大和はしたたるみどり

雲ひとつなけれど被膜せる青さ若かりし日の空とは違ふ

てのひらを零れたるもの得たるものこの世限りのことと思へば

満ち欠けは世の常としてやじろべゑいづれどこかで辻褄の合ふ

遅速ある時間の流れ感じつつ待ちをり待たれゐるより安く

頼られずさりとて労りくるるなく如何なる位置に母として在る

胸に火を点しくれたる言葉ありわづかながらも未来が展く

新年号の原稿束ねて送り出すピーヒャラドンと霜月祭

(筒井早苗  霜月祭  短歌新聞社)

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結社「新月」の編集発行人である筒井早苗さんの第五歌集を読む。
去年、日本歌人クラブの関西の会で、私の歌を選んでくださったことからご縁が出来た。
「新月」は、昨年創刊六十五周年を迎えた伝統のある結社。
歌集の内容から、筒井さんは独り暮らしでがんばっておられることがわかる。
孤独と上手く付き合うというのは、こういうことだと教えられるような気がする。
いつまでもお元気で、ご健詠をお祈りします。


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