気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人4月号 同人のうた その2

2011-04-15 19:36:19 | 短歌人同人のうた
地球儀を回す少女に夕陽さし日本はいつまで日本だらうか
(宇田川寛之)

水仙の香りに瞬時たちのぼる「美しい国」なる戯言(たわごと)が
(藤原龍一郎)

ウォーキングしてゐる夫婦ふたりづれオイ梅ガ咲イタナ、とか言ひて
(小池光)

ゆっくりと春へ流れる 何であれぞめき激しき人は好まず
(西勝洋一)

火鉢にて聴診器の先あたためて胸にあてたる村の老医師
(橘圀臣)

賜りし生八橋のひらたきをさびしき言葉溶かすごと舌に
(松圭子)

眠剤を飲み忘れたる真夜にして振り返るには永すぎる過去
(北帆桃子)

反りながら若木のミモザ咲くしたを二人乗り自転車すぎてゆきたり
(紺野裕子)

雨空が雪空となるしずけさを閉じこめておく青き封筒
(守谷茂泰)

鉄塔の腰のあたりの夕焼けは煉獄めいて冥き窓みゆ
(岡田悠束)

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短歌人4月号、同人1欄から。
4月号の〆切は、2月12日なので、まだ地震の歌はない。
しかし、宇田川さん、藤原さんの歌に何か予言のようなものを感じる。
小池さん、こういう情景を見るときのお気持ちを察すると辛いものがある。会話のところだけカタカナにしているのが工夫。「、とか」はいかにも今のコトバを拾っている感じ。
西勝さん。「ぞめき」は「騒き」だと調べてわかった。まことに共感する。
某歌会で、よく「○○が好き」といった歌が出るのだが、これはあまり歌にならない気がする。「好まず」なら歌になると思う。はっきりした根拠はないが・・・。
紺野さんの歌の明るさに好感を持つ。
岡田さん、鉄塔の腰のあたり・・・がうまい。

などと、つれづれに。

ちなみに生八つ橋は、こんな感じ。餃子の皮と食感は似ているが味はニッキの甘さ。
これにあんこを挟んだのが「おたべ」などの商標で売られている。生八つ橋を焼くと、八つ橋になる。年に何度か、無性に八つ橋やそばぼうろを食べたくなるのは、京都人の血かもしれない。


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