気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2009-08-24 23:17:36 | 朝日歌壇
フルハシの快挙をラジオで聞きながらミシン踏んでる少女であった
(福岡市 倉掛聖子)

七月の祭り終われば畳屋は職人に戻る山鉾の町
(京都市 佐藤佳代子)

新しきゴザの藺草(いぐさ)を匂はせて昼寝の顔を風が過ぎ行く
(東京都 山下征治)

*******************************

一首目。先日亡くなられた古橋広之進氏への挽歌。ラジオで聞いているのだから、フルハシのカタカナ表記は正しい選択だ。ミシンを踏んでる少女と自分の青春をも懐古して、うまく一首にまとまっている。私自身は、古橋広之進氏の活躍を知らないが、子供のころ父が山中毅や田中聡子を応援していたことは記憶に残っている。
二首目。祇園祭の鉾町の人の作品だろう。京都は七月いっぱい祇園祭の関連の行事がある。山鉾巡行がハイライトではあるが、その前後の祭事がずっとつづく。祭りを支えているのは、地元の畳屋さんであり、普通の職業の人たちだ。鉾の飾りには、シルクロードを通って運ばれたものもあり、その管理は一年を通しての神経を要する仕事である。
三首目。一読、気分のいい歌。夏の昼さがりのまどろみの心地よさが、藺草の匂いとともに伝わってくる。


最新の画像もっと見る