気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

季節 斎藤典子歌集 つづき

2012-05-15 17:49:28 | つれづれ
炊飯器の呼ぶこゑ聞こえゆつくりとつはぶきの黄よりたちあがりたり

水桶に沈みてありぬ真夜中に帰り来たりし息子の茶碗

丸善の万年筆売り場のしづもりはひとのこころを神さびしむる

道頓堀を「くいだおれ太郎」が去りゆく日つひに来たるを深くなげかふ

病むひとへ出しそびれたる年賀状水仙のそばしづまりてあり

さくら花背にして子は笑む来世にまた産むならばこの子を産まう

ひとり居に甘きホットケーキ焼きてゐて少しは寂しき行ひもせむ

漫才のぼけつつこみの役目して短歌をつくるひとり月夜なる

ひと月分の新聞束ねて棄てにゆく秋陽にしろき洞なすところへ

くさぐさの面白からぬことありて橋の欄干撲ちつつ帰る

(斎藤典子 季節 砂子屋書房)

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斎藤さんがまとめ役をしてくださっている短歌人関西歌会は、私の短歌の原点である歌会。それなのに、家庭の事情やら、いろいろあって、最近は休みがちで申し訳ないことである。歌集のなかに以前の歌会で出合った歌を見つけると、何やらうれしく懐かしい気持ちになる。そして、私も似た発想の歌を作っていることに、反省すること頻りである。
実は、きょうの昼食もホットケーキだった。教わりつつ、影響しあいつつ、言いたいことを言っても、それは歌会というその場のこと。歌については、批判するけれど、本人の人格は別のもの。もちろん尊敬しています。これからも、いろいろな歌会に出つつ、帰るところは短歌人関西歌会だと思う。
個性豊かなメンバーの取りまとめ役として、ますますのご活躍を期待する。

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