気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

昨日の朝日歌壇

2009-01-13 23:25:08 | 朝日歌壇
悲しみは不意によせくる母に似しひとの耕す冬の諫早
(笠間市 北沢 錨)

一首だに歌残さざりし母にして晶子歌集の繕ひてあり
(長野市 沓掛喜久男)

義歯はずし床(とこ)につくとき暗闇に洗滌コップの義歯の歯ぎしり
(加古川市 茨木 修)

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一首目。作者の住む笠間市と諫早は離れているが、旅行中の歌か、テレビの映像を見ての歌だろうか。どこに居ても母の面影が作者の脳裏にあるので、耕している女性を見ても、母に似ているように思われて悲しみが押し寄せる。ごく最近お母さまを亡くされたのかもしれない。いくつになっても、別れて何年たっても母の面影は、あらゆるところに追いかけてくる。温かくもあり、悲しくもあり、忘れないことが供養なのだと思う。

二首目。これも母のうた。与謝野晶子の歌集を繕ってまで、よく読んでいても自分では一首も作らなかった作者のお母さま。むかしの女性は、自分を表現することに今よりずっと臆病だったのだろう。でもその思いを継いで、作者が短歌を詠み、お母さまに捧げておられることに心が動く。

三首目。義歯の歯ぎしりが面白いと思った。義歯までが、主人の思いを強く受けて洗滌コップの中で歯ぎしりするのは、作者がよほどくやしい思いをしたということだろうか。
ギシノハギシリ・・・声に出して読んでみると、ますます味わいが深い。

パソコンのトラブルで、7年ほど使ったパソコンから新品に買い換えました。なんやかんやで朝日歌壇の記事が大幅に遅れてしまいました。これからもぼちぼち続けますので、お読みください。

新しきパソコンにいのち吹き込んでひと息をつく そとは風花
(近藤かすみ)


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2 コメント

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Unknown (佐山みはる)
2009-01-15 00:01:09
こんばんは。
パソコンの故障、大変でしたね。

>これからもぼちぼち続けますので、お読みください。

はい、お待ちしておりました(^^)

>ギシノハギシリ・・・声に出して読んでみると、ますます味わいが深い。

私もこの歌が面白いと思いました。
でも音読してませんでした。
しかも「ぎば」と思っていたし(^^;)
なるほど、声に出して読んでみますね。

遅れましたが、今年もよろしくお願いします。
新年歌会でお会いするのを楽しみにしています。
Unknown (かすみ)
2009-01-15 00:54:26
佐山みはるさん こんばんは。

復帰できてほっとしました。新品のパソコンは独特のにおいがします。白だから、いずれ汚れるだろうな。できるだけ大事に使いたいです。

新年歌会楽しみですね。途中で眠くなるだろうな。起きてないと折角行くのに、もったいないですよね。では、よろしく。