気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

綯い交ぜのみどり 川野並子 青磁社

2019-10-17 11:54:09 | つれづれ
ひさかたの光を浴びて黒土の崩れにさみどり あ、蕗の薹

嬰児(みどりご)のすずしき眼の見つめいるちりめん細工の緋鯉に真鯉

畑道をメロディ流す路線バスに小さき媼はおじぎして乗る

仰け反りて渾身の力に鐘をうつ入相の音低く響かう

梔子の黄に染められたおみくじは蝶になるやも吉田の節分

濃き色の裂を散らせた色合わせ友が張り切るキルト張り切る

梔子の若葉を離れぬ青虫は剝がせばくるりと弾む柔肌

念仏を唱える空也の細き脚ぞうり踏みしむ足指力む

立ふたつ横にならびて並となる『字統』にて知るわが名の成り立ち

真如堂の急な坂路の石畳凹凸いつしか足裏(あうら)になじむ

(川野並子 綯い交ぜのみどり 青磁社)

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