アルプスの風に葡萄の葉の揺るる水穂空穂の原を駆けゆく
(瑞穂市 渡部芳郎)
孫を見ず逝ってしまった父のためシューマンを弾く月の澄む夜
(越谷市 黒田祐花)
団扇もてあふぐ役目の五歳よりつくり続けし彼岸ばらずし
(沖縄県 和田静子)
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一首目。爽やかな秋の歌。四句目の水穂空穂は、歌人の太田水穂、窪田空穂のことだが、どちらも名前に穂がつくので、一緒に風に揺れている植物のような風情だ。
二首目。シューマンのピアノ曲、「子供の情景」は有名で、特にトロイメライがよく知られている。作者の父親は孫を見ることなく、亡くなってしまい、作者はそれを悼んでピアノを弾いている。結句の「月の澄む夜」が美しく、歌に透明感を与えている。
三首目。おいしそうな歌。お彼岸には、ばらずしと作ることが昔から習慣になっているのだ。作者は五歳のときから、すし飯を団扇で冷ます役割をしていた。関西でも「ばらずし」という言い方をするが、「ちらし寿司」が一般的な呼び方だろうか。
わが家では、遠足の前の晩に、母と祖母が巻きずしを作ってくれたことが忘れられない。たくさん作って、次の日のお弁当になる。母の好みで酢は控え目だった。もう二度と味わえないおふくろの味。私は作り方を習いそこねてしまった。うちの子どもたちの知っている「ばらずし」は、永谷園の「すし太郎」だろう。
(瑞穂市 渡部芳郎)
孫を見ず逝ってしまった父のためシューマンを弾く月の澄む夜
(越谷市 黒田祐花)
団扇もてあふぐ役目の五歳よりつくり続けし彼岸ばらずし
(沖縄県 和田静子)
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一首目。爽やかな秋の歌。四句目の水穂空穂は、歌人の太田水穂、窪田空穂のことだが、どちらも名前に穂がつくので、一緒に風に揺れている植物のような風情だ。
二首目。シューマンのピアノ曲、「子供の情景」は有名で、特にトロイメライがよく知られている。作者の父親は孫を見ることなく、亡くなってしまい、作者はそれを悼んでピアノを弾いている。結句の「月の澄む夜」が美しく、歌に透明感を与えている。
三首目。おいしそうな歌。お彼岸には、ばらずしと作ることが昔から習慣になっているのだ。作者は五歳のときから、すし飯を団扇で冷ます役割をしていた。関西でも「ばらずし」という言い方をするが、「ちらし寿司」が一般的な呼び方だろうか。
わが家では、遠足の前の晩に、母と祖母が巻きずしを作ってくれたことが忘れられない。たくさん作って、次の日のお弁当になる。母の好みで酢は控え目だった。もう二度と味わえないおふくろの味。私は作り方を習いそこねてしまった。うちの子どもたちの知っている「ばらずし」は、永谷園の「すし太郎」だろう。
私も今朝の朝日歌壇を見て、びっくりしました。先週、自分で書いた記事に「トロイメライ」のことも書いていたので、ますます驚き。
二重投稿になるんでしょうね。読者は、細かく読んでいるものです。
孫を見ず逝ってしまった父のためシューマンを弾く月の澄む夜 越谷市・黒田祐花
この歌を朝日歌壇(5日付)で読み、(ん?)と思った。(どこかで読んだことのある歌だ...それとも 既視感かなぁ)
先週の歌壇(9月28日付)を確かめたら、高野選者の六席として載ってた。
今回(5日付)は、馬場選者が首席として採用してる。うう、こういうことはありなのだろうか??