気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2012-01-09 23:09:41 | 朝日歌壇
いい歌はやさしく叩く世の隅に今泣いているあなたの肩を
(名古屋市 山口耕太郎)

いつもよりやさしくゆっくり年賀状の宛先を書く「福、島、県」と
(浜松市 石田佳子)

失敗はもう歳だからと許されて人格が徐々に崩されてゆく
(筑紫野市 岩石敏子)

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一首目。素直でやさしい歌。語りかけるような口調がいい。昨年亡くなられた石田比呂志の歌を彷彿とさせる。

二首目。今年の年賀状は、文面も考えざるを得なかった。「あけましておめでとう」は余りにも呑気な気がしたのだ。関西で暮らしていると直接の影響は特にないが、年賀状や手紙を書くとき、相手の住所が東北だと、はっとして姿勢を改めなければならない気がする。「福、島、県」の表記に気持ちの丁寧さが表れている。

三首目。作者はおいくつ位の方だろうか。下句の「人格が徐々に崩されてゆく」はとてもこわい。いままでちゃんと出来ていたという矜持もあるだろう。「歳だから」と言わずに、ゆっくり待っていることが大事なのだ。

昨年末から、やらなければならないことがあってブログの更新はペースダウンしていますが、ぼちぼち書きますので、今年もよろしくお願いします。

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