山鳩はかなしみを啼く此世(これのよ)に生まれ出でたるたれのかなしみ
雪の息聞(きこ)ゆるといふ嬬の耳やさしく咬みてそを聴きてをり
ちのみごのうぶ毛のやうなふくしまの桃のはだへを愛せりわれは
ふくしまの米は買ふなといふこゑをふふむ土満つフレコンバッグ
枇杷の花香(にほ)ふゆふぐれ喪ひし人をおもへばにじみゆく白
復興は進んでゐますといふ言葉から漏れつづくCs(セシウム)と水
東京は大丈夫ですー係(かかり)助詞「は」に其の人の心根を見る
ふるゆきは誰のてのひら 瓦礫より骨の見つかる七歳の子の
歌ふとはうつたふること磐梯を映す田の面をわれらは愛す
亡きひとのゐてあたたかき月の夜の声かき抱(むだ)くふくしまのそら
(本田一弘 あらがね ながらみ書房)
雪の息聞(きこ)ゆるといふ嬬の耳やさしく咬みてそを聴きてをり
ちのみごのうぶ毛のやうなふくしまの桃のはだへを愛せりわれは
ふくしまの米は買ふなといふこゑをふふむ土満つフレコンバッグ
枇杷の花香(にほ)ふゆふぐれ喪ひし人をおもへばにじみゆく白
復興は進んでゐますといふ言葉から漏れつづくCs(セシウム)と水
東京は大丈夫ですー係(かかり)助詞「は」に其の人の心根を見る
ふるゆきは誰のてのひら 瓦礫より骨の見つかる七歳の子の
歌ふとはうつたふること磐梯を映す田の面をわれらは愛す
亡きひとのゐてあたたかき月の夜の声かき抱(むだ)くふくしまのそら
(本田一弘 あらがね ながらみ書房)