気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人10月号 同人のうた その3

2011-10-24 00:27:28 | 短歌人同人のうた
ふるさとを探すごとくに夕焼けの路地ゆく影を道連れにして
(宇田川寛之)

ねんねこの矢絣の紫とほき日の母の匂ひがまだ沁みてをり
(有沢螢)

三年前むすめ住みたる常滑の住所も駅もはや忘れたり
(関谷啓子)

いかずちの遠く響ける夕つ方歌詠む椅子がかすかにきしむ
(松永博之)

千の秘めごとある響きなりアマポーラ アマポーラ吐息のやうに
(檜垣宏子)

夏深き未明の街にうぐひすのこゑ立ち渡る山喪ひて
(榊原敦子)

愚痴ばかり聞かされている部屋の椅子ゆらりゆらりと時折揺れる
(川島眸)

幹に枝に蝉を休ませわが辛夷暑きひと日を声の樹となる
(古川アヤ子)

夏山より帰り来たりし息子の背おほきなる雲ひろごりてゐる
(斎藤典子)

ごはん炊いてうなぎをのせてひとり食ふ坂くだるごと一年が過ぐ
(小池光)

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短歌人10月号、同人1欄より。
次の号が来るまでに、同人1欄を読み終えることが出来ました。

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