企画書のてにをはに手を入れられて朧月夜はうたびとになる
涸谷(ワジ)を行く一小隊に若鮎のやうな詩人が ゐないと言へるか
俺は詩人だバカヤローと怒鳴つて社を出でて行くことを夢想す
島耕作にも坂の上の雲にも馴染めざる月給取りに一つ茶柱
デスクトップの赤き砂漠に向き合ひてひねもす夏の盛りを知らず
投げられし書類拾はむと屈むときある油絵のひとつが浮かぶ
サラリーマン塚本邦雄も同僚と食べただらうか日替ランチ
パソコンの画面周りに増えてゆく獅子のたてがみのやうに付箋が
疲れ果てわが寝室に入り行けばシェーのポーズで熟睡の人
旧姓を木の芽の中に置いて来てきみは小さくうなづいてゐた
(田村元 北二十二条西七丁目 本阿弥書店)
******************************
作者は、サラリーマンであり、労働の歌が多くある。歌人のほとんどは、何らかの職業人で、教師が多いが、それ以外の職業もある。くわしくはわからないもののホワイトカラーであろう。四首目を見ると、余り上昇志向ではなさそうだ。ポケットにメモ帳を入れて、仕事中でも歌を思いつくと、こそこそっと書いたりしているんだろうな。メモ帳を出す暇もなかったら、お箸の入ってたケースだったり、携帯電話だったり、レシートの裏だったりするんだろうなと、ほほえましくなる。教員歌人はよく学校の歌を作るが、私自身がむかし事務員だったことや、夫も亡き父もサラリーマンであることから、こちらに親近感を持ってしまう。最後の二首は、奥様のことだろう。木の芽という植物をもってきたのが、質素で好感を持つ。
涸谷(ワジ)を行く一小隊に若鮎のやうな詩人が ゐないと言へるか
俺は詩人だバカヤローと怒鳴つて社を出でて行くことを夢想す
島耕作にも坂の上の雲にも馴染めざる月給取りに一つ茶柱
デスクトップの赤き砂漠に向き合ひてひねもす夏の盛りを知らず
投げられし書類拾はむと屈むときある油絵のひとつが浮かぶ
サラリーマン塚本邦雄も同僚と食べただらうか日替ランチ
パソコンの画面周りに増えてゆく獅子のたてがみのやうに付箋が
疲れ果てわが寝室に入り行けばシェーのポーズで熟睡の人
旧姓を木の芽の中に置いて来てきみは小さくうなづいてゐた
(田村元 北二十二条西七丁目 本阿弥書店)
******************************
作者は、サラリーマンであり、労働の歌が多くある。歌人のほとんどは、何らかの職業人で、教師が多いが、それ以外の職業もある。くわしくはわからないもののホワイトカラーであろう。四首目を見ると、余り上昇志向ではなさそうだ。ポケットにメモ帳を入れて、仕事中でも歌を思いつくと、こそこそっと書いたりしているんだろうな。メモ帳を出す暇もなかったら、お箸の入ってたケースだったり、携帯電話だったり、レシートの裏だったりするんだろうなと、ほほえましくなる。教員歌人はよく学校の歌を作るが、私自身がむかし事務員だったことや、夫も亡き父もサラリーマンであることから、こちらに親近感を持ってしまう。最後の二首は、奥様のことだろう。木の芽という植物をもってきたのが、質素で好感を持つ。
その後、田村元さんのお名前を見るたびにあのお客様ではなかったかと、何度も思いました。
しかし、田村元さんは京都にお住まいだったことはないようです。じゃあ、あの田村さんはだれだったのか・・・
拙歌集を取り上げてくださいまして、誠にありがとうございました。しかも、二回に渡ってのご批評、たいへんありがたく拝読いたしました。
私のブログの下記のページにリンクを貼らせていただいてよろしいでしょうか?
http://n22w7.blog.so-net.ne.jp/2012-07-22
私は京都の書店で本を注文したことはなかったと思いますし、全然「すごい人」ではありませんので、田村○さんは別の方だと思います(笑)。でも、なんだかとてもありがたいエピソードです。
tamaya様。私も週末にはよく、ドブ板通りを通っています。あの辺りは、タイ料理やカレーのお店が多く、よくランチを食べに行ったりしています。
コメントありがとうございます。
とても感じのよい歌集でした。ほかの方の歌集評を見ると、また違った歌をとりあげられています。それだけ、良い歌が多く、幅の広い歌集だと思いました。
リンクもOKです。私も怠けずにブログを維持しなくては・・・(笑)
これからもよろしくお願いいたします。