気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

きのうの朝日歌壇

2007-08-07 23:26:27 | 朝日歌壇
水槽を回(めぐ)るマグロを仰ぐとき笑顔ゆらゆらエイがよぎりぬ
(ひたちなか市 篠原克彦)

去年埋めし雀の墓に母子草ひとり芽生えて小さき花つく
(名古屋市 木村久子)

浅草の地下映画館異界らし「田宮二郎!」と掛け声の飛ぶ
(東京都 津和野次郎)

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一首目。私もたまたま新潟の水族館「マリンピア日本海」に行ったところで、ちょうどこういう光景を見た。エイは裏側からみると、ほんとに愛嬌のある笑顔に見える。ゆらゆらというオノマトペがややありきたりな感じもするが、わかりやすくても良いと思った。
二首目。輪廻転生を思わせるとともに、ささやかさが魅力の作品。四句目の「ひとり」の使い方が面白い。だれも手を加えていないという意味で使っているのだろう。
三首目。田宮二郎が自殺してもう何年経つかわからないが、スクリーンの中では、年をとらずいまでも二枚目のまま。浅草の地下映画館という設定も異界の雰囲気を醸し出す。「!」も効いている。

本能を刺激さるれば従順にイルカは芸を披露しつづく
(近藤かすみ)


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