気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人4月号 同人のうた その3

2014-04-11 21:44:05 | 短歌人同人のうた
それぞれが二十七人の子をなしぬ父・俊成と息子の定家
(秋田與一郎)

音量を絞りて夜ごと部屋に聴くチャイコフスキーに雪は降りいき
(木曽陽子)

あかき血のすける鉤爪ひそませて四肢ゆるゆると兎はねむる
(佐々木通代)

昼月のうかべる空をあふぎつつ歩めりここは根津八重垣町
(高田流子)

飽くことなくしゃべり続ける口のあり春の窓辺のランチの席に
(今井千草)

一言居士のいない歌会は速やかに進み夕べを人は散りゆく
(西勝洋一)

無頼派をよそほふ人に憧れを抱かずなりて陽だまりのなか
(宇田川寛之)

錯覚と思ひてみしも白髪のジュリーがうたふ「花の首飾り」
(斎藤典子)

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短歌人4月号、同人1欄より。