気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人4月号 同人のうた

2014-04-04 00:06:17 | 短歌人同人のうた
みちゆきを思うてゐたりもどかしく毛穴のひらく春の闇夜に
(泉慶章)

三十一回五十音図を読む友に頷きながら歌は生まるる
(有沢螢)

こころ固くなりゆく夜半よひくくひくくラフマニノフの青に隠れる
(鶴田伊津)

斎藤茂吉の墓にきて大声に泣くをとこのあればそれはわれなり
(山寺修象)

現実もまぶたの裏のまぼろしもさかいめあらぬただ雪野原
(阿部久美)

森にふる粉雪こゆき細雪あかず眺むる窓のむかうを
(庭野摩里)

パン野菜玉子の残を確かめて三日吹雪けば三日籠りぬ
(明石雅子)

同じ楽同じ踊で時告げる人形がまた俺を見ている
(八木博信)

冷凍庫買はむと思ふわが食の未来をしばし確保するため
(藤本喜久恵)

たれかれの消息にはなし及ぶとき放射線量つもるふくしま
(紺野裕子)

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短歌人4月号、同人1欄より。