気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人4月号 同人のうた その2

2014-04-08 17:22:33 | 短歌人同人のうた
トルコブルーの敷物に遊ぶいもうとが見えくる永久に十歳(とを)のいもうと
(蒔田さくら子)

妻を亡くせしわれを親身に慰めむと神田の蕎麦屋にさそひくれたりし
(小池光)

馬場あき子の弔辞読むこゑ聞きながらをやみなく降る雪を見てをり
(中地俊夫)

生きてゐる生きてはゐるがきちんとは生きてはゐない老い人に餐
(武下奈々子)

大寒のつらら日すがらゆるむなく軒に太りて夕茜受く
(椎木英輔)

水仙を瓶いつぱいに溢れさすけふは誰にも会はないつもり
(山下冨士穂)

足跡に足跡かさね雪の道けぶれるところ身を移しゆく
(人見邦子)

「一日一生」傘寿の年もしなやかに心ときめく恋ひとつあれ
(小川潤治)

人生はこの場所に不意に絶たれしか更地にちいさな花束三つ
(平林文枝)

りんだうが峠に咲くとうたひけり島倉千代子こゑのかぎりに
(榊原敦子)

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短歌人4月号、同人1欄より。

小池光、中地俊夫の歌は、2月14日に急逝した小高賢氏の挽歌。あまりの突然の死に驚きを隠せない。青磁社より、シリーズ牧水賞の歌人たちVol.5として出た本をアマゾンで買った。
短歌人の全国集会に講師として来ていただいたとき、一度だけお会いして話した。ちょうど『雲ケ畑まで』が出た直後、日本農業新聞に私の歌を紹介していただいたことを小高さんの口から初めて聞き、嬉しかったことが思い出される。

ご冥福をお祈りいたします。