妻にまた聞いているのだ吉岡が何になるのだ娘の苗字
(吉岡生夫)
持たせ忘れし体温計を買いにゆく夜の九時過ぎ満月である
(平野久美子)
縄跳びの上達したる子が縄を持つた途端に鳩の飛び立つ
(宇田川寛之)
廃校のさくらもみじは散りながら冬眠のまま死ぬ熊もいる
(今井千草)
街灯に照らせる下に降り止まぬ雪それぞれにそれぞれの影
(梶倶認)
霜月の男の声を聞くために右耳だけの私となりゆく
(高野裕子)
次こそは物語のある歌集をと青柳守音のこゑがささやく
(有沢螢)
まな板はからんの乾くおとがするひとりの午餐の茗荷きざめば
(紺野裕子)
絵でいへば自画像ばかり描いてゐる画家のやうなり歌人といふは
(長谷川莞爾)
みつちりと高野豆腐の盛られたる大皿しづか法事の膳に
(川本浩美)
********************************
短歌人同人一欄から。
寒い毎日。パソコンの不調が続く。
自信喪失することもいろいろあるが、ゆっくり歩くほかに方法はない。
(吉岡生夫)
持たせ忘れし体温計を買いにゆく夜の九時過ぎ満月である
(平野久美子)
縄跳びの上達したる子が縄を持つた途端に鳩の飛び立つ
(宇田川寛之)
廃校のさくらもみじは散りながら冬眠のまま死ぬ熊もいる
(今井千草)
街灯に照らせる下に降り止まぬ雪それぞれにそれぞれの影
(梶倶認)
霜月の男の声を聞くために右耳だけの私となりゆく
(高野裕子)
次こそは物語のある歌集をと青柳守音のこゑがささやく
(有沢螢)
まな板はからんの乾くおとがするひとりの午餐の茗荷きざめば
(紺野裕子)
絵でいへば自画像ばかり描いてゐる画家のやうなり歌人といふは
(長谷川莞爾)
みつちりと高野豆腐の盛られたる大皿しづか法事の膳に
(川本浩美)
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短歌人同人一欄から。
寒い毎日。パソコンの不調が続く。
自信喪失することもいろいろあるが、ゆっくり歩くほかに方法はない。