気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人1月号  同人1欄 その2

2011-01-13 17:08:37 | 短歌人同人のうた
妻にまた聞いているのだ吉岡が何になるのだ娘の苗字
(吉岡生夫)

持たせ忘れし体温計を買いにゆく夜の九時過ぎ満月である
(平野久美子)

縄跳びの上達したる子が縄を持つた途端に鳩の飛び立つ
(宇田川寛之)

廃校のさくらもみじは散りながら冬眠のまま死ぬ熊もいる
(今井千草)

街灯に照らせる下に降り止まぬ雪それぞれにそれぞれの影
(梶倶認)

霜月の男の声を聞くために右耳だけの私となりゆく
(高野裕子)

次こそは物語のある歌集をと青柳守音のこゑがささやく
(有沢螢)

まな板はからんの乾くおとがするひとりの午餐の茗荷きざめば
(紺野裕子)

絵でいへば自画像ばかり描いてゐる画家のやうなり歌人といふは
(長谷川莞爾)

みつちりと高野豆腐の盛られたる大皿しづか法事の膳に
(川本浩美)

********************************

短歌人同人一欄から。

寒い毎日。パソコンの不調が続く。
自信喪失することもいろいろあるが、ゆっくり歩くほかに方法はない。