気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2011-01-10 22:17:47 | 朝日歌壇
野の川に白く光りて冬日ありかすかな風にも小波拾ひて
(西条市 亀井克礼)

試着室鏡の中に私より先にセーラー服着た私
(富山市 松田梨子)

きんかんのこと、きいかんと云いし父 もっと優しくすればよかった
(可児市 林寿鶴子)

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一首目。お手本のようによく出来た自然詠。もともと短歌というのは、こういう物だと改めて感じさせられる。
二首目。試着室の鏡の私に追いついていない現実の私(の気分)を、短歌の定型のなかにうまく納めている。自分を客観視できることは、歌を作る大事な条件だと思う。
三首目。下句のストレートな物言いに泣かされる。上句はそれを支えて、父親のクセを言って、人物像を立ち上がらせている。