気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2011-01-31 23:17:39 | 朝日歌壇
ねんころりあめゆきふるふるつちのしたはるのゆめみるくさばなのたね
(横浜市 秋鹿素子)

外観がきれいであれば安堵して老を預ける荷物の如く
(新座市 中村偕子)

寒き日と言ふほかに無しただ独り畑の大根抜き続けをり
(尾道市 堀川弘)

**********************************

一首目。すべてひらがなにした面白い作品。内容もやわらかくやさしい。ひらがなをゆっくり追って読むうちに、こころが温かくなるような気にさせられた。
二首目。老人介護の現実なのかもしれない。私は早くに両親を亡くしているので、実際のところはよくわからない。荷物のように預けられる日も近いかと思う今日このごろ。大人になったわが子と一緒に暮らすのは、まず無理。施設に入った方が、お互いに気楽だろう。
三首目。たしかに今年の冬の寒さは格別。夏も暑かったし、地球のさまざまなことが変わってきているのかもしれない。独りの表記が、孤独感を強調している。こんな寒さの中を収穫された大根だと思うと、味もひとしお濃く感じられる。