窓の結露をてのひらばかり拭ききよめ天に二十日の月を見たりき
(酒井佑子)
竹群の蒼きなだりにときをりは盛り上がりつつ風わたる見ゆ
(大谷雅彦)
青柳守音がまづ立ちあがる筆ぐるめ年賀状住所録とりあへず閉づ
(有沢螢)
雪の日の店内暗き魚屋に鰈の腹のしらじらとあり
(梶倶認)
蔦の葉はかがやくまでに錦せりとほい廃校の壁をおほひて
(川本浩美)
古書店に歌を探せばひっそりと活字の隅に鳴けるこおろぎ
(守谷茂泰)
晩秋のそらの把手にぶらさがる小公園に車いす止めて
(紺野裕子)
消えてゆく虹をながめてたたずめばかなしみとうもの風に流るる
(岡田経子)
墨流しの雲残りおり大風が掃き忘れたる空の一隅
(山本栄子)
幽霊になるなら図書館憑きがいい古きミステリ積まれるあたり
(森澤真理)
*****************************
短歌人2月号、同人一欄より。
(酒井佑子)
竹群の蒼きなだりにときをりは盛り上がりつつ風わたる見ゆ
(大谷雅彦)
青柳守音がまづ立ちあがる筆ぐるめ年賀状住所録とりあへず閉づ
(有沢螢)
雪の日の店内暗き魚屋に鰈の腹のしらじらとあり
(梶倶認)
蔦の葉はかがやくまでに錦せりとほい廃校の壁をおほひて
(川本浩美)
古書店に歌を探せばひっそりと活字の隅に鳴けるこおろぎ
(守谷茂泰)
晩秋のそらの把手にぶらさがる小公園に車いす止めて
(紺野裕子)
消えてゆく虹をながめてたたずめばかなしみとうもの風に流るる
(岡田経子)
墨流しの雲残りおり大風が掃き忘れたる空の一隅
(山本栄子)
幽霊になるなら図書館憑きがいい古きミステリ積まれるあたり
(森澤真理)
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短歌人2月号、同人一欄より。