気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

夏男 永田吉文歌集

2008-02-21 23:59:51 | つれづれ
さわやかに私のなかに育ちゆく歌の木のある大樹となれよ

本という大きさ重さを偏愛する頁を一枚一枚<めくる>のがいい

漢字の字源いろいろ図解で説明され学ということ食より楽し

数数の即席麺の味の差を熱く語るは永田吉文

せせらぎをわたればみどりしずもれる象山神社に夏男われ

目覚めれば昨日を捨てたわれが居てまずは眼鏡をつけて顔とす

(永田吉文 夏男 雁書館)

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短歌人会の同人永田吉文の第二歌集。
「まず赤の地色に金の『夏男』表紙に熱き衝撃はしる」と戯れ歌を作ってみたが、明るく元気な歌集だ。短歌が好きで、本と文字が好きで食べることより愛しているという偏愛ぶりが心地よい。むつかしい言葉もなく、わかりやすく、読みやすい。ご本人の健康で前向きな性格が現れている。いや、もっと深読みすべきなのだろうか。なんとなく暗いイメージの歌壇には革新的な歌集で歌人だと思う。がんばってほしい。もっといい歌もあるので、それは次回につづく。

同年の歌猿永田吉文にエールを送る春宵うらら
(近藤かすみ)