気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

銀耳 魚村晋太郎

2007-02-10 02:06:36 | つれづれ
包丁に獣脂の曇り しなかつた事を咎めに隣人が来る

ゆつくりとひとを裏切る 芽キャベツのポトフで遅い昼をすませて

地下街は明るき迷路(メイズ)行き止まりには恋人の踵が待てる

あつたけどないのと同じ 絡まつたヴィデオテープの薔薇園のやうに

外を向いて俯いてゐるひとたちが綺麗だ 風の夜のローソン

(魚村晋太郎 銀耳 砂子屋書房)

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魚村晋太郎さんの歌集をパラパラと読む。料理をする人らしい。
感覚的な歌で、あるときある人にはぴたっと嵌る歌なのだろう。
マニア好みの旨い歌。あかぬけている。
そんなに広くない京都の街のどこかですれちがっていたかもしれない。