気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

楽園 藤原龍一郎歌集

2006-08-12 00:22:56 | つれづれ
根岸より地下鉄を二度乗換えてりんかい線で子規居士来れ

ジャズソング口笛で吹く洒落男この月光の値千金

黄昏に沈む世界のよろこびを五感に享けて果てし、と告げよ

圏外という人生をうべなえと液晶画面に175R

地下鉄に地下鉄の神都バスには都バスの神が憑きて静謐

(藤原龍一郎 楽園 角川書店)

************************

短歌人会の夏の会で、サイン入りで『楽園』を購入。帰りの乗り物の中で、ざっと読んでまたゆっくり読みなおしている。
題詠マラソンで知っている歌もあって嬉しい。
藤原龍一郎氏の特徴として、次のようなことを再確認。
読書量、知識が多いので、それを生かして古いものと新しいものを繋いでいる。俳句とのコラボレーション。体言止めが多い。固有名詞の多用。マニアックな芸能ネタが豊富(175Rは、イナゴライダーだったか)。フレーズの繰り返しが効果を生む。
表紙のデザインは、都会のイルミネーション、高速道路、高層ビルの林立を思わせる。
にぎやかな歌集だ。