気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

向日葵の眼 山本枝里子歌集

2006-08-16 21:16:38 | つれづれ
さびしさは林檎の中にもあるらしき噛めばときをり木の香りする

われを包めばそよともせざるブラウスが夕べの風に翔ぶかたち見す

改札機に切符入れたる束の間を試されてゐるわれかと思ふ

歌によりひらかれてゆくわれのありたつたひとつの心をひらく

ゆふやみの菜の花畑あかるくてどこに逃げてもわたしはわたし

(山本枝里子 向日葵の眼)

*************************

人生のさまざまな苦難に出会いながら、歌に添うことで救われている作者と思われる。作者には、ほかの人が自分より立派に見えるという傾向があるようだ。私もときどきそんな気持ちになるので、共感するところがあった。