気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2006-08-28 12:35:41 | 朝日歌壇
消えゆきし「ゑ」の字はどこに孫の知らぬ杳き明治の曽祖母よしゑ
(伊勢原市 宇佐美正治)

薊野にあまた真白き蝶群れて汽車はハルツの夏山に入る
(ドイツ 西田リーバウ望東子)

缶詰めの酸素吾が為たずさえて乗鞍岳にこま草を賞(め)ず
(相模原市 尾崎裕美)

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一首目。いまは余り使われなくなった「ゑ」の字が明治生まれの曽祖母の名に残っていることを素材にした。たしかにそのとおりで、私も短歌に関わることがなかったら、ほとんど使うことがないだろう。杳き明治というのも良い表現だと感じた。
二首目。作者はドイツ在住の人。さわやかな旅情をさそう一首。ここ数年遠出するのは、歌会関連で、純粋な旅をしてないな。どこか遠くへ行ってみたい。
三首目。缶詰めの酸素というのは、缶を開けたらすぐに拡散してしまうのじゃないだろうか。何か拡散しない方法を施してあるのか。こま草というのは、実際に見たことはないが、いつか切手の図柄になっていて、それを大事に使っていた記憶がある。