その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

プロムス アリーナへ突撃

2011-07-23 18:11:10 | コンサート (in 欧州)
 昨日の金曜日、仕事がほぼ定時に終わり、さてこのまま家に帰るか?パブに寄り道するか?と一瞬考えて出た結論は、「そうだ、プロムスに行こう!」。

 先先週からスタートしたロンドン夏の名物プロムスですが、今年はまだ一度も足を運べていません。今週、火曜日のチケットを持っていたのですが、残念ながら仕事都合で、別のコンサートに振り替えたので、この日が私にとっての初日です。

(いつ見ても美しいロイヤルアルバートホール)


 チケットを予約してあるわけではないので、当日券狙いです。でも、前から一度は、あの当日券でしか入れない舞台の真ん前のアリーナに陣取ってみたかったので、まだチケットが残っているかドキドキしながらロイヤルアルバートホールへ向かいました。到着したのは開演30分程前ですが、既に入場を開始している当日アリーナの入口には30mほどの列が出来ていました。係のお姉さんに「並べばまだ入れるかな?」と聞いたら「今日はまだたくさんチケットはあるから大丈夫よ」とのこと。失礼ながら、この日の演奏はBBCフィルハーモニックという知名度ではイマイチの楽団だったことが、逆に幸いしたようです。

 10分も待たないうちに、ゲートにたどり着きました。チケットはなんと5ポンド!!!その日の昼飯のダブルチーズバーガーベーコン付きより安い!感動の価格です。チケットを受け取って、いよいよ中へ。会場に入る前に楽屋の横を通ります。楽団のおじさんが何人か廊下に出て練習していました。

(No306だからきっと、306番目ということなのでしょう。何枚配るかは良くわかりません。)


 会場に入るといつものプロムス会場です。全体的に暗く照明を落とした中、赤やブルーの照明が綺麗に輝き、華麗なホールの中を照らしています。ボックス席、ギャラリー席に廻りを取りこまれ、この大ホールのど真ん中に立つというのは、それだけで気分の良いものです。ロイヤルアルバートホールは大きすぎるとか、音響が悪いとかいろいろ批判はあるようですが、独特の雰囲気を持つホールです。特に、プロムスのこのお祭り的なウキウキの雰囲気は、なんとも言えない高揚感があり、「やっぱり好きだわ、プロムス」と自然とつぶやきが出ます。





 開演まで多少時間があることもあってか、アリーナは半分ぐらいの埋まり具合でした。だいたいの人が床に腰を降ろして座っていますが、中には寝転がっている人までがいます。なんともリラックスした雰囲気。耳をすましていると、いろんな言語で話し声が聞こえてきますし、スーツの人(これは少ない)からTシャツ・短パンの人、中学生ぐらいの人から杖を突くようなご老人まで、またPromsのシリーズパンフレットを持って書き込みをしている如何にも常連のおじさんから旅行者の日本人おばさんペアまで、いろんな人がいます。

※日本人のおばさま方の会話。これぞ、関西弁の見本のような会話で、腹の中で大笑い。
「あんた、なんでこんな椅子のない立ち見の席にしたん」
「・・・(一瞬、沈黙)あんた、椅子があったら寝よるやろ」
「そやな」

(写真を撮りまくっていたお姉さん)


 楽員さんたちが登壇し始めると、多くの人は立ちます。ただ、中には相変わらず座ったままの人、寝たままの人も居て、この人たちは演奏が始まっても、このまま。自由と言えば自由、いい加減と言えばいい加減。クラシック音楽の楽しみ方は、その人次第ということのようです。



 私はアリーナの右手後方で立って聴いていました。前に背の高い男性が立っていたので、視界はイマイチでしたが、オケに近いだけあって良く聴こえます。これが5ポンドで楽しめるというのは何と言う贅沢。

 この日はフランスの作曲家の作品6つを集めたプログラム。1曲は長くても最大25分程度なので、リラックスして楽しめます。私には指揮者のJuanjo Mena、BBCフィルハーモニックも初めてですが、とてもスマートで素敵なフランス音楽を聞かせてくれました。

(中央が指揮のJuanjo Mena)


(FallaのNights in the Gardens of Spainでピアノを弾いたSteven Osborne)


 ただ、週末のウエールズ旅行の霧と雨にやられたらしく、今週は自分の体調がイマイチ。そのためか、立ってオーケストラを聴くというのは、ちょっと体力的にきつかった。なんかどこに焦点を当てて聴いたり、見たりすればいいのか、イマイチ姿勢が定まらず、結果としてボーっとして聴き流したという感じになってしまいました。パブの立ち飲み、芝居の立ち見は全然気にならないで楽しめるので、今回つらかったのは、体調と慣れの両方のせいかもしれません。

 いずれにせよ、より多くの人にお手ごろにクラシックを楽しんでもらおうというこのPromsの素晴らしさはまさにこのアリーナにあることが良く分かりました。最上の場所が最安の値段で、貧富を問わず並びさえすれば万人に開かれているこのシステムは本当に素晴らしい。(ウインブルドンテニスのセンターコートも最上の席が何席か当日券用に確保されています)5ポンド席はこのアリーナのほかにも、最上階のギャラリーエリアにもあります。9月上旬一杯まで続くこのイベントで、是非、ギャラリーにもチャレンジしてみます。

Friday 22 July
7.30pm – c. 9.50pm
Royal Albert Hall
Classical for starters, French music concerts and events, Piano music

Debussy
Images - Gigues (7 mins)
Ravel
Rapsodie espagnole (15 mins)
Debussy
Images - Rondes de printemps (9 mins)
INTERVAL
Ravel
Alborado del gracioso (8 mins)
Falla
Nights in the Gardens of Spain (24 mins)
Debussy
Images - Ibéria (20 mins)
Steven Osborne piano
BBC Philharmonic
Juanjo Mena conductor
コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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Unknown (みき)
2011-07-25 16:09:31
「大阪のおばちゃん」の会話に一番ウケました。
プロムスは「イギリスのすばらしいこと」のひとつですよね。
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Unknown (かんとく)
2011-07-26 06:41:47
みきさん
関西人の会話って何であんなに面白いんでしょうね。私にはとてもあのセンスは真似できません。
プロムスは本当に素晴らしいと思います。時間があったらシーズン券を買って、毎日通いたいぐらいです。
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