イギリスの田舎町で代々続いた家族経営の紳士靴工場が舞台。父の急死で急きょ、社長を継いだ若社長が経営危機で工場閉鎖やむなしに追い込まれる中、ロンドンでのゲイとの出会いをきっかけに、女装趣味男性向きブーツの開発・製造で起死回生の一手を打つというお話。サクセスストーリーというよりも、LGBTQといった自分らしさの発揮という真面目なメッセージが織り込まれている。
ミュージカル版は全曲シンディー・ローパーの作曲ということで一度是非観てみたかった。今回、ブロードウエイのライブ映像を上映するとの情報を得て、二子玉川まで遠征した。
いやー、本当に楽しく、元気がでるミュージカルである。歌よし、役者よし、舞台よし、テンポよし、笑いありで非の打ち所がない、良い意味で完璧に計算されたエンターテイメント。2時間15分があっという間に過ぎてしまった。
主役のローラ役マット・ヘンリーの演技、歌、踊りが素晴らしい。ローラのキャラと組み合わさって、スクリーンからあふれんばかりのオーラだ。ぐいぐい引きつけられる。
私がとりわけ好みだったのは、ローラの女装趣味男性友達たちの踊りや振る舞い。実に、美しいし、身のこなしが洗練されている。映像の良さで、ダンスの時にも(劇場ではおそらくそこまで見えないであろう)指先までもその表現が楽しめる。ため息が出るほどだ。
歌はどれもノリノリで、体が自然に動きだすような音楽ばかり。当たり前だが、その出演者の歌唱も良くて、こりゃあ劇場に居たら凄い盛り上がり間違いなしだ。時折映し出される劇場の観衆たちが羨ましい。ブロードウエイかウエストエンド行きたいなあ~
ミュージカル入門者にも抵抗感なく入れる作品であること間違いないので、万人に自信をもってお勧めしたい。これ見てつまらんと思う人は、きっとLGBTQを「生産性が低い」とか放言する一部の自民党議員ぐらいだろう。
【キャスト】
ローラ役:マット・ヘンリー
チャーリー・プライス役:キリアン・ドネリー
ローレン役:ナタリー・マックイーン
ドン役:ショーン・ニーダム
ニコラ役:コーデリア・ファーンワース
ジョージ役:アントニー・リード
【制作】
■脚本:ハーヴェイ・ファイアスタイン
■音楽/作詞:シンディ・ローパー
■演出/振付:ジェリー・ミッチェル
■セットデザイン:デイヴィッド・ロックウェル
■衣装デザイン:グレッグ・バーンズ
■照明デザイン:ケネス・ポズナー
■音響デザイン:ジョン・シヴァース
■ヘアデザイン:ジョシュ・マルケット
■プロデューサー(舞台版):ダリル・ロス ハル・ルフティグ
■監督(シネマ版):ブレット・サリヴァン
■プロデューサー(シネマ版):ダリル・ロス ハル・ルフティグ オースティン・ショウ
■エグゼクティブ・プロデューサー (BroadwayHD):スチュアート・レーン&ボニー・カムリー