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その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

由佐美加子, 天外伺朗『ザ・メンタルモデル 痛みの分離から統合へ向かう人の進化のテクノロジ』(2019、内外出版社)

2025-04-17 07:57:12 | 

参加している読書コミュニティでの課題図書として読む。かなり刺激的というか挑戦的な書籍だなぁという印象でした。著者達の自身への確信が強烈だし、微妙に「スピリチュアル」系の香りもする気がして、半信半疑な思いも持ちながらなんとか読了。本題でのセミナーをそのまま再現している前半部分は生々しく、迫力感じました。

本書は人の心の中に持つメンタルモデルを知り、外界とのギャップにもがく分離の「痛み」から内界と外界を統合させることで、自然な自己表現を可能にする技術を指南します。自分のメンタルモデルを探し当てること自体が本書の目的ではなく、フレームワークを活用して、どう自分を俯瞰し、他人を理解し、「『愛』、『調和』、『平和』、『幸福』な人生」(p10)を送るかにあります。

そのフレームワークとは2つあり、1つは「人間の意識の発達段階モデル」(ライフ・タペストリー)。適合期→直面期→自己統合期→体現期→自己表現期のフェーズで進むが、同時並行的に進むことも一般的。もう1つが「メンタルモデル」の類型です(自分は無自覚に、この世界に適合して生きるためには何をしないといけないと思っているかの信念のこと)。①価値無しモデル、②愛無しモデル、③一人ぼっちモデル、④欠陥欠損モデルの4つに分類されます。この2つのフレームワークはは初めて知った内容で、自己分析のフレームワークとして参考になりました。

一方で、「人間の内的世界が外側の現実を創り出している」、「幼少期に築かれたメンタルモデルとの葛藤」、「自分の中に不動の信念がある」といった本書の前提となる論点は、納得しきっていない(もしくは、理解しきれていない)ところがあります。人間は外部環境との相互関係、相互作用だと思うので、個人の内側に比重を高く置く本書の立場はちょっと私の実感とは異なると感じました。

いずれにせよ、自己を知ることはこの上なく難しいです。本書の目指すところは自己の内界と外界の一致ですが、私自身はそこまで自分に求めてないし、自分探しもするつもりもないと感じた次第です。

 

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