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その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

三谷幸喜 監督 「大空港 2013」

2020-04-02 07:30:00 | 映画

 コロナウイルスで沈んだ気分を笑い飛ばすに最適の一本。三谷幸喜が脚本・監督し、三谷作品らしい軽快なコメディに仕上げっている。

 天候不良で松本空港に羽田行きの飛行機が緊急着陸。地方の空港で一時を過ごす乗客たちの騒動が、グランドスタッフ(竹内結子)を軸に描かれる。

 ワンシーン・ワンカットで撮られているので、リアリティや臨場感がたっぷり。俳優さんの緊張感も相当なものだと想像するが、竹内結子、香川照之、神野三鈴、生瀬勝久などの個性派俳優を揃えて、安心して楽しめる作品。105分、息をつかせず話が展開していく。

 週末、家に籠ったときに見るのがあう。もとはWOWOWで作ったテレビ映画らしいが、今はAmazonプライムで見られます。


監督 三谷幸喜 
プロデューサー 徳田雄久 藤田知久 椿宜和 
ラインプロデューサー 森賢正 稲葉尚人 
脚本 三谷幸喜 
撮影 山本英夫 
照明 小野晃

大河内千草 - 竹内結子
田野倉守男 - 香川照之
田野倉美代子 - 神野三鈴
田野倉真弓 - 石橋杏奈
田野倉睦夫 - 池松壮亮
鶴橋蔵之介 - 生瀬勝久
鶴橋清正 - 綾田俊樹
村木繁 - 甲本雅裕
砂田かおる - 青木さやか
国木田修 - オダギリジョー


映画 「私はダニエル・ブレイク」(監督 ケン・ローチ、2017年)

2020-03-24 07:30:00 | 映画

イギリスの心臓疾患のため仕事の大工ができなくなり失業給付を求める60歳代の男性と公共住宅に引っ越してきたシングルマザーと二人の子供の家族との交流を通じて、イギリスの普通の市民の貧困を描いたドラマ。社会派で有名なケン・ローチ監督の作品で、2016年に第69回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドール、2017年に英国アカデミー賞で英国作品賞 (2017)を受賞している。

 ワーキングクラスとして普通に仕事をしてきても、健康を害して仕事を続けられなくなった時には、日々の生活が立ち行かなくなる。不幸な結婚の解消と同時に、子どもを抱えて路頭に迷う。怠けていたわけでもなければ、贅沢をしたわけでもない。たまたま巡ってきた運命や環境で、人としての生きる権利や尊厳までが侵される。重くのしかかる現代社会の矛盾が表現されている。主人公のダニエル・ブレイクを演じたデイヴ・ジョーンズの深みのある演技、シングル・マザーのケイティ役、ヘイリー・スクワイアーズの自然体な演技が、リアリティを高めている。

 この映画を観て「貧困は自己責任」と言い切れる人がいるのだろうか。もちろん、国、市町村の福祉にただ乗り、悪乗りしている人を私も見てきているし、世の中には働けるのに働いてない人も存在するだろう。だが、自己責任で片付けられない貧困は確実に存在し、そうした人には一定の支援が必要なはずだ。

 私は未見だが、日本の「万引き家族」、韓国の「パラサイト」など貧困を描いた映画が各国で製作され、評価されているのは、先進国と言われる国においても貧困が課題であることを示しているのだろう。

(最近は日本も同じだが・・・)イギリスのつながらないコールセンターやお役所仕事はロンドンで十分に経験したので、肌感覚としても良く分かる。イングランドの北東部の薄暗い街並み、寒い気候が、厳しい環境を際立たせる。掛け値なしにいい映画だが、明るい展望が見える映画ではないので、観るタイミングは選んだ方が良いと思う。

余談だが、原題は"I, Daniel Blake"。観て頂ければわかるが、邦題は訳としては間違ってないが、ちょっと映画や原題のイメージとは違う。

 

監督:ケン・ローチ
製作:レベッカ・オブライエン
製作総指揮:パスカル・コーシュトゥー グレゴワール・ソルラ バンサン・マラバル
脚本:ポール・ラバーティ
撮影:ロビー・ライアン
美術:ファーガス・クレッグ リンダ・ウィルソン
衣装:ジョアンヌ・スレイター
編集:ジョナサン・モリス
音楽:ジョージ・フェントン

ダニエル・ブレイク:デイブ・ジョーンズ
ケイティ:ヘイリー・スクワイアーズ
ディラン:ディラン・フィリップ・マキアナン
デイジー:ブリアナ・シャン
アン:ケイト・ラッター
シェイラ:シャロン・パーシー
チャイナ:ケマ・シカウズウェ


映画 「トゥルーマン・ショー」(監督ピーター・ウィアー、1998)

2020-03-15 07:58:03 | 映画

ジム・キャリーが好きで、彼が出る映画はほとんど見ていた時期があった。しょうもないドタバタ・コメディ(これが好きだったのだが)が多い初期の作品群の中で、本作品は当時では珍しいブラック・コメディだった。正月に読んだ『21Lessons』で未来を描く映画の一例として紹介されていて、懐かしく久しぶりに見返してみた。

ご覧になった方も多いと思うが、主人公のトゥルーマンはTV番組の主人公として、誕生の時から撮影・放映され、脚本に沿って成長し、人生を生かされてきた。妻も母も親友ですらキャストであり自分の生活の虚構に気づいたトゥルーマンは、自らセットの世界を脱出しリアルの世界に踏み出していく。ブラックユーモアの中に、自己の希求、メディアの影響力、リアルとヴァーチャルの境目などのテーマが織り込まれている色んな見方ができる。久しぶりに観て、改めて良くできた映画だと思った。

本映画を再見して、『21 Lessons』の該当部分をもう一度読み直してみた。筆者のハラリの見方は、私よりもずっと深いところにあったことに改めて気づかされた。

「マトリックス(注:トゥルーマンが生きるバーチャルな世界)の中に閉じ込められた人間には正真正銘の自己があり、(中略)マトリックスの外には本物の現実が待ち受けていて、主人公が一生懸命試みさえすれば、その現実にアクセスできると決めてかかっている。(中略)
 現在のテクノロジーと科学の革命が意味しているのは、正真正銘の個人と正真正銘の現実をアルゴリズムやテレビカメラで操作しうるということではなく、真正性は神話であるということだ。人々は枠の中に閉じ込められるのを恐れるが、自分がすでに枠、すなわち自分の脳の中に閉じ込められていることに気づかない。そして、脳はさらに大きな枠、すなわち無数の独自の虚構を持つ人間社会の中に閉じ込められている。」(pp.320‐321)

「最新のテクノロジーに何ができるかを考えれば、心はつねに操作される危険がある。人を操作する枠組みから解放されたがっている、正真正銘の自己などありはしないのだ。」(p323)

ここまで言ってしまうと実も蓋も無い感じもするが、サピエンスが他の種を抑えてここまで発展してきたのは、「「虚構」を信じ、それに基づき行動することができたことにある」という、ハラリの根本主張と同期している。そもそも私達も「虚構」の中で生きているのだ。

ハラリも映画として「トゥルーマン・ショー」は「見事にできている」と言っている。ただ、SF映画はしばしばテクノロジーや社会の未来の理解を(本当とは異なって)規定してしまうと言う。

単純に映画のできに感心しているだけではダメだったようだ。


映画 "Blinded by the Light" (監督:グリンダ・チャーダ)

2020-03-02 07:30:00 | 映画

ロンドンの近郊の町ルートンに生まれ育ったパキスタン系移民の16歳の少年が主人公。アジア的な家父長的家族の中で価値観の違いや差別に悩みながら、ブルース・スプリグスティーンに魅せられ、成長していく。実話にインスパイアされた物語とのことだ(エンドロールでモデルとなった人たちの写真が紹介される)。成長物語であると同時に、イギリスにおける文化、差別を描いた社会的映画でもある。「ベッカムに恋して」に似てるなあと思って後で確認したら、同じ監督さんだった。

タイトルはスプリングスティーンの歌のタイトルから取っている。スプリングスティーンは私自身は学生時代に少し聴いてたけど、ちょっとあまりにもストレートなメッセージソングに苦手意識があった。でも、この映画で全編に流れるスプリングスティーンは、社会の現実や周囲の人達との関係に悩む思春期の少年の思いと絶妙にマッチしていて、心地よい。

見ていて楽しいし、視聴後は元気も出るし、イギリスの移民社会の勉強にもなる。主人公のサンフラズ・マンズールの演技が自然で好感が持てる。また、主人公の親父の人とキャラが、私がロンドン駐在した当時の経理課長にそっくり(彼はスリランカ移民1世だったけど)で笑った。リアルな移民家庭やイギリス社会が描かれていると思う。

日本では4月に「カセットテープ・ダイアリーズ」というタイトルで公開されるようだ。良く分からん邦題になってしまったが、良質なイギリス映画でお勧め。

※2019年12月に機内で視聴

2019年製作/117分/G/イギリス
原題:Blinded by the Light
配給:ポニーキャニオン


映画: 「ラストレター」(岩井俊二 監督、2020)

2020-02-07 07:30:00 | 映画

昨年5月に偶然機内で視聴した、岩井俊二監督が中国で製作した「你好、之華」が、舞台を日本に置き換え、日本人キャストとで製作されたリメーク版が公開されたので、早速見に行った(原作の舞台は日本のようなので、リメークと言う言葉が適切かどうかは分からないが)(你好、之華の感想記事はこちら→

状況や役者が中国(人)から日本(人)に置き換わっているが、脚本は同じ(ほぼ?)である。岩井監督ならではの美しい映像、感情の機微の描写、心に染みる音楽、現実と非現実の境界線を綱渡りするストーリー展開は素晴らしく、心奪われた二時間だった。

同じ題材、物語なのでどうしても中国版との比較をしてしまうが、甲乙つけがたい。どちらが良い、悪いとは無関係に、舞台が中国から日本に移ったためか、前作では映像が乾いた大陸的な匂いを発していたのに対して、日本版の映像には瑞々しさを感じたのが印象的。

俳優陣は軸となる主演男優・女優を福山雅治、松たか子が演じ、自然で安定した演技に好感持てた。福山が良い味を出していて、中国版よりもしっくりきた。また、大人の二人以上に、高校生を演じる男女三名が大切な作品だが、広瀬すず、森七菜神木隆之介ともに思春期の少女・少年を好演。終盤の福山との会話や福山を見送るシーンは、涙がこぼれる。

チャットなどで非対面の対人コミュニケーションが同期性をもつこの現代で、手紙と言う非同期的なオールドメディアを道具立てにして物語を展開させる手腕は全くお見事としか言いようがない。我々が、便利さ・効率性と引き換えに失ってしまったものに気づかされる。

中国版も今年後半に日本で公開されるとのこと。未見の人は是非、見て欲しい。個人的には(他に似た事例があるのかどうかは知らないが)、同じ題材を中国と日本でそれぞれ2本撮影し、それを相互に公開する(日本版が中国で公開されるのかどうかは知らないが、きっとされるだろう)というビジネス戦略も非常に興味深い。

キャスト

松たか子:岸辺野裕里

広瀬すず:遠野鮎美/遠野未咲(回想)

庵野秀明:岸辺野宗二郎

森七菜:岸辺野颯香/遠野裕里(回想)

小室等:波戸場正三

水越けいこ:岸辺野昭子

木内みどり:遠野純子

鈴木慶一:遠野幸吉

豊川悦司:阿藤陽市

中山美穂:サカエ

神木隆之介:乙坂鏡史郎(回想)

福山雅治:乙坂鏡史郎

 

スタッフ

岩井俊二:監督・原作・脚本

小林武史:音楽


映画「引っ越し大名」

2020-01-11 11:05:41 | 映画

江戸時代の大名の国替え(引っ越し)を巡る騒動を描いたエンタメ映画。土橋章宏『引っ越し大名三千里』の映画化とのこと。昨年、出張帰りの機内で視聴。

エンタメ映画として肩ひじ張らずに楽しく見られるので、機内での時間つぶしには丁度良かった。引っ越し奉行に任命された、引きこもりの書庫番片桐春之介を星野源が好演している。

個人的には、前任の引っ越し奉行の娘・於蘭役を演じた高畑充希が新鮮だった。以前、朝ドラの主役を務めたことがあるのは知っていたが、彼女が演じるドラマや映画を観るのは実質初めて。親しみの持てる演技で好感度高く、遅まきながらこれから注目しよっと。

監督:犬童一心

キャスト
片桐春之介:星野源
鷹村源右衛門:高橋一生
於蘭:高畑充希


映画〈グリーン・ブック〉(監督:ピーター・ファレリー )

2019-11-09 08:43:17 | 映画

才能と名声を得た黒人ピアニストとその彼のコンサートツアーの運転手兼ボディガードとなったイタリア系アメリカ人の2人の交流を描くロードムービー。実話にヒントを得た作品で、タイトルは黒人専用の旅行ガイドの名前に由来しているとのこと。出張帰りの飛行機で視聴。

「とってもいい映画」という一言に尽きる。社会階層、教養、人種の違いを超えた友情、違いを認めることで生まれる個人としての成長、黒人差別が合法であった60年代アメリカ社会など、個人・人間関係・社会が美しい映像をベースに描写される。まあ、天邪鬼的に言えば出来過ぎ感はあるが、素直に楽しみたい。

映画自体は十分に楽しめるものだが、私はむしろ今のアメリカを思い、暗くなったところもある。この映画で描かれるように人種差別が当たり前だったアメリカは、その後、黒人大統領を持つまでにもなったにもかかわらず、今の大統領は差別、分断を煽るような発言を続け、それが一定の支持を受けている。時計の針が逆向きに動いているようにしか見えない。


監督:ピーター・ファレリー
脚本:ニック・ヴァレロンガピーター・ファレリーブライアン・クリー
出演者:
ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ、リンダ・カーデリー、ニドン・スタークほか


映画 〈イエスタデイ〉 監督:ダニー・ボイル

2019-10-25 07:30:00 | 映画

 リチャード・カーティスの脚本、ネタがビートルズということでは見ないわけにはいかない。

 物語はリチャード・カーティスらしい、現実的には(きっと)あり得ない物語。売れないミュージシャンがビートルズが存在しなかった世界にスリップし、ビートルズの曲を歌ってセンセーションを巻き起こす。そんな騒動の中で、成功、誠実さ、愛が描かれるラブ・コメディアだ。

 『アバウト・タイム』同様、時間のずれを活用したあり得ない話なのだが、なぜかそこで白けることが無い不思議な魅力に満ちている。登場人物に感動移入が容易だし、流れる音楽は全部知っていて、好きなビートルズの楽曲ばかり。ビートルズが存在しなかった世界なって考えてもみなかったけど、この作品を通じて、そんな世界がどんなに味気ないかに気づかされる。

 主演のヒメーシュ・パテルは初見だが、朴訥とした誠実な青年を好演していた。ヒロインのリリー・ジェームスもカーティスのラブコメディにマッチした献身的で控えめな女性役が嵌っていた。エド・シーランが本人役で出ているのも面白い。

 カーティスの世界(「ブリジッド・ジョーンズ」「ラブ・アクチュアリー」「アバウト・タイム」等)が好きな人には、間違いなくお勧め。

 

監督ダニー・ボイル
製作ティム・ビーバン エリック・フェルナー マシュー・ジェームズ・ウィルキンソン バーナード・ベリュー リチャード・カーティス ダニー・ボイル
製作総指揮ニック・エンジェルリー・ブレイジャー ライザ・チェイシン
原案ジャック・バース リチャード・カーティス
脚本リチャード・カーティス

キャスト
ヒメーシュ・パテル:ジャック・マリク
リリー・ジェームス:エリー・アップルトン
ケイト・マッキノン:デブラ・ハマー
ジョエル・フライ:ロッキー
エド・シーラン:エド・シーラン
ジェームズ・コーデン:ジェームズ・コーデン


映画 『マスカレード・ホテル』 (監督:鈴木雅之、2018年)

2019-08-09 07:30:00 | 映画

東野圭吾の推理小説の映画化。連続殺人事件の第4の現場になる可能性が高いと想定される高級ホテルでの、ホテルウーマン(長澤まさみ)と潜入捜査を行う刑事(キムタク)との交流・葛藤が描かれる。出張帰りの機内で視聴。

人間関係のスクランブル交差点ともいえるホテル現場の表と裏、事件の謎解き、キムタクと長澤まさみを軸とした俳優陣がうまく噛み合って、面白いエンターテイメント作品だった。読んだことはないが、原作がしっかりしていることもあるのだろう。物語の軸が確固としていて、犯人捜しも考えさせる(まあ途中でほぼ自明となるが)。

キムタクと長澤の主演陣は美男美女過ぎてちょっと現実離れしすぎている感はあるが、小日向文世、生瀬勝久、松たか子らの脇役陣らがしっかりしているので浮いた感じもせず、物語に集中できる。

ホテルを舞台にした映画やテレビドラマは、三谷幸喜の「THE・有頂天ホテル」や漫画の実写化ドラマ「ホテル」で、その舞台裏を覗けたが、客の人間模様と究極のサービス業としてのホテルマンとお客のせめぎあいが、非常にリアルで勉強にもなる。気が利かない私には絶対できない仕事だなあ~


映画 『翔んで埼玉』 (監督:武内英樹、2019年)

2019-08-07 07:30:00 | 映画

埼玉県をネタにした自虐的コメディ映画。私は読んだことないが、漫画を映画化したものらしい。出張帰りの機内で視聴した。埼玉には、社会人なって最初の3年間を、住み、勤めたので、それなりに愛着があるし、営業・マーケティング活動に従事したので、当地の社会・経済についてもそこそこ経験し、勉強したつもりだ。今回、新聞で興行的にも結構集客好調という記事を読んだことがあるので、機内の情報誌にこのタイトルを見たときはラッキーと思った

が、観てみての感想は、正直言って私のストライクゾーンからは大きく外れた映画だった。埼玉の東京・神奈川に対するコンプレックスと(一方的な)千葉に対するライバル心は十分に経験したので、まさに埼玉「あるある」でそれなりに笑えると言えば笑える。また、全国住みにくい県ワースト一位だったことが長くあったり、貧乳率全国一位(こんな指標があるというのは驚きだった)というのは初めて知ったことで「へえ〜」ということもあった。

ただ、状況設定やストーリー展開は漫画には合いそうだが、実写で見せるには、リアリティと現実離れの混在が中途半端だ。また、笑いも自虐的であるだけなので、笑いに深みや広がりがあるわけではない。まあ、ガリガリ君やファミリーマートが埼玉発というのも、飲み屋でのおやじ連中のお国自慢をわざわざ映画にしているだけという気もする。埼玉には縁があった私でさえこの程度の感想なのだが、埼玉の人が喜んで視ているというのはなんか良く分からないし、ましてや埼玉に縁がない人で面白いと思える人が一体どれだけいるのだろう。

まあ、純粋エンタメ映画にくそ真面目な感想をつらつら書くのも無粋だろうからこの程度にしよう。緊張感ある商談帰りで、機内で何も考えたくない時の時間つぶしに良かったとポジティブに終わろう。


映画  「你好,之華」(監督:岩井俊二, 2018)

2019-06-08 07:30:00 | 映画

 

 私の好きな岩井俊二監督が中国で中国人キャストで撮り、中国で公開された作品。日本公開はまだのようだ。詳しい事情は知らないが、日本の実力映画監督が中国市場を対象に、中国で映画を撮る、そんな時代になったんだなあとしみじみ思う。

 GWのマレーシアからの出張帰りのJAL便で見たのだけど、見事に涙腺決壊で、フライトアテンダントの方に見られ恥ずかしかった。ストーリーは自殺した姉の代わりに同窓会に出席した妹が、若き日の姉に思いを寄せていた男性と出会い、姉になりすまし手紙を交換する中で過去と現在が交錯する中で二人が距離を縮めていく。岩井監督自身の小説「Last Letter」が原作とのこと。

 素朴で淡々と流れる映像に、静かな音楽がマッチする。舞台こそ中国で中国人が演じているが、物語は極めてユニバーサル。このデジタル時代に手紙のやり取りというアナログ的な設定に違和感を感じるかもしれないが、アナログ・メディアならではの良さが滲み出ている。役者さんも地に足がついた演技で自然体。私には主人公の娘役のはにかんだ、内気な少女ぶりが好印象だった。

 岩井監督らしい、日常と非日常の世界が混在する岩井ワールドに酔いしれた。人により好き嫌いはあるかもしれないが、岩井ワールド好きはハンカチを用意を。ネット情報だが、2020年には日本で日本人キャストで映画化されるらしい。

 

タイトル:你好,之华(你好、之華)

英題:Last Letter
監督:岩井俊二
公開日:2018年11月9日

周迅 (ジョウ・シュン)、秦昊 (チン・ハオ)

香港の名匠・陳可辛 (ピーター・チャン) がプロデューサーを務め、全編中国語、大連ロケを含むオール中国で撮影された作品です。


映画「サバイバル・ファミリー」 (監督:矢口史靖、2017年 )

2019-01-31 07:30:00 | 映画


 日本中の大停電で機能を失った東京を抜け出し、故郷の鹿児島を目指す家族のサバイバルを描くロードムービー。好きな俳優である小日向文世さんと深津絵里さんが主演ということで機内で軽い気持ちで選んだのですが、映像は淡々としていてリアリティ溢れるものなのですが、内容は重い映画でした。

 現代人の生活がいかに基本インフラ(水道、電気、ガス、通信など)に支えられていて、それを失った際のサバイバル能力や限界時の人間性について考えさせる内容です。自らの立ち位置、非常時の自分などについて考えるきっかけになる映画であることは間違いないのですが、それなりの覚悟をもって見ることをお勧めします。

 
スタッフ
監督:矢口史靖
原案:矢口史靖
脚本:矢口史靖
脚本協力:矢口純子
製作:石原隆

キャスト
小日向文世:鈴木義之
深津絵里:鈴木光恵
泉澤祐希:鈴木賢司
葵わかな:鈴木結衣

映画 『LBJ ケネディの意志を継いだ男』  (監督ロブ・ライナー 、2016)

2018-11-18 08:30:00 | 映画


 リンドン・ジョンソン元大統領(1908年8月27日 - 1973年1月22日)がケネディ大統領の暗殺に伴い、副大統領から大統領となり、ケネディの政策を継いで、公民権法を成立させる過程を描く。観た後に知ったのだが、監督は私の大好きな『スタンド・バイ・ミー』のロブ・ライナー。地味で硬派なトピックを、重厚かつ質の高い作品に仕上げている。

 正直、リンドン・ジョンソン大統領は、地味でベトナム戦争を始めた泥沼化させた大統領ということで、私自身のイメージは良くなかったのだが、自分の無知に気づかさせてくれた映画だった。ケネディが打ち出した公民権の法案を引き継ぎ、基盤である南部の支持勢力が反対する中、押し切って歴史的な立法にこぎつけているのだ。

 もともとはワシントンの党内実力者として、意見調整が得意分野で、どちらかというと影のボス的存在(昔の自民党の金丸さんのような感じ?)であったこともわかる。ケネディ政権内をジョンソンの視点で描かれているのを見るのも興味深かった。

 作品を支えているのは主演のウディ・ハレルソン。私にはあまりなじみはない俳優さんだが、民主党予備選での人気絶頂のケネディとの対決する悩み、カヤの外的であった副大統領時、そしてケネディを引き継いで大統領となっての決意と行動などが、リアリティたっぷりに演じられていた。

 政治モノが好きな方にはお勧めしたい映画だ。


キャスト
ウディ・ハレルソン:リンドン・B・ジョンソン
マイケル・スタール=デヴィッド:ロバート・F・ケネディ
リチャード・ジェンキンス:リチャード・ラッセル
ビル・プルマン:ラルフ・ヤーボロー
ジェフリー・ドノヴァン:ジョン・F・ケネディ
ジェニファー・ジェイソン・リー:レディ・バード・ジョンソン

スタッフ
ロブ・ライナー:監督
マーティン・シェイファー:製作総指揮
ジョーイ・ハートストーン:脚本
マーク・シェイマン:音楽

映画 『カメラを止めるな!』(監督:上田慎一郎)

2018-11-13 07:30:00 | 映画


 上映館が2館から口コミで評判となり大ヒットとなった映画。職場の映画通から勧められていたのだが、なかなか見に行く機会がなかったがやっと観れた。

 売れない映像監督が、ニッチな「ゾンビ」チャンネル向きにゾンビ映画を撮る話なのだが、90分強の上映時間、息をつかせず一気に見せる映画だ。最初の30数分がワンカットのシーンになっているが、映像のリアル感、迫力がすさまじい。登場人物の立ったキャラやそれを演じる俳優陣の熱演にも支えられ、かなり特異な映画だった。

 評判通り、一回は観ておいて損はしない映画である。

【公開日】2018年6月23日
【製作年】2017年
【製作国】日本
【上映時間】96分
【配給】ENBUゼミナール
【監督・脚本・編集】上田慎一郎
【撮影】曽根剛
【録音】古茂田耕吉
【助監督】中泉裕矢
【特殊造形・メイク】下畑和秀
【ヘアメイク】平林純子
【制作】吉田幸之助
【主題歌・メインテーマ】鈴木伸宏 / 伊藤翔磨
【音楽】永井カイル
【アソシエイトプロデューサー】児玉健太郎 / 牟田浩二
【プロデューサー】市橋浩治
【出演】
濱津隆之
真魚
しゅはまはるみ / 長屋和彰
細井学
市原洋
山崎俊太郎
大沢真一郎
竹原芳子
浅森咲希奈
吉田美紀
合田純奈
秋山ゆずき

映画 ”Life of the Party” (2018)

2018-09-20 07:30:00 | 映画


 飛行機の中で見たのですが、日本ではまだ未公開のよう。大学生の娘を持つ中年女性が、夫から離婚を持ち出され、人生の再起をかけて若き日に結婚のため中退した大学(娘の大学と同じ)に復学し、卒業目指してチャレンジ。キャンパスライフで巻き起こる騒動を通じて、友情・愛・努力を描いたコメディ映画。

 私的にはこれ以上典型的アメリカ的な映画は無いんではないかというぐらい、アメリカ・コメディ映画の典型だった。このぐらい王道を行くコメディも今どき珍しいんじゃないかな。学生時代はこのジャンルの映画をビデオを借りて良く見ていたが、観た映画のタイトルは全部忘れた。この映画もそうなりそう。

 とネガティブなコメントから入ったが、主演のメリッサ・マッカーシーの熱演、存在感が素晴らしいし、とにかく笑える。飛行機の中で見るのには最適だし、ちょっとブルーな時に観てみよう。元気をもらえる。

Directed by Ben Falcone
Writing Credits
Melissa McCarthy (written by) & Ben Falcone ..(written by)

Cast (in credits order) verified as complete
Melissa McCarthy ...Deanna
Matt Walsh ...Dan
Molly Gordon... Maddie
Ben Falcone ...Uber Driver
Jacki Weaver ...Sandy
Stephen Root ...Mike
Maya Rudolph .. Christine