一芸に秀でるものは諸芸に通ず。
人にはよい所があればわるい所もある。
どちらか一方だけということは人間ありえないのであります。
向学の為の努力が苦にならないこと、集中と継続に飽きないことは、自分本来の面目に関わることであり、それがよい所であり、みづからの強みの発露につながることであります。
唯一無二の存在である、「自分」というものの声に接したとき、人からはどう見られようが、「自分本来の面目を保った」という唯楽喜悦の境涯への、一本道になるのであります。
みづからの面目にかける。
萬願如来は、その心意気に降臨するのであります。
偉大なるかの葛飾北斎は、90年ほどの生涯の終わりに、「あと1年生かしてくれたら、わしは本当の絵というものがわかる」といったと聞きます。
晩年の画号は、画狂人卍。壮絶なる面目であります。
すくなくとも、ましなところとどうしようもないところを間違えないで、本来の面目を問いつつ、萬願に向かいたいものであります。
「願わくは 花の下にて春死なん。そのきさらぎの 望月の頃。」
-西行-