こころに残るヒトコト

2013-06-03 | 日記

今朝の早い時間、明け方目が覚めてしまって眠れなかったから、西脇順三郎の本を読んでいた。 「 シユルレアリスム文学論 」  ( なんと昭和5年11月発表にした論文であった!ちょっと今まで気付かなかったナ ) である。その中の一行に僕はいたく感じるものがあったので、備忘録代わりに掲載しておくのである。

シユルレアリスムの表現形態を理解することを拒絶する人達は、昔、ターナーといふ画家と一人のおばあさんとの会話に注意すべきである。それは一日ターナーが戸外で絵をかいてゐると、そこへきた一人のばあさんが 「 自然は、そんな色をしてゐませんが、私にはそんな色が見えません。 」 と話しかけた。その画家の答は 「 おくさん、そんなものを見たがりなさるな 」

というのである。いわゆる通俗はつまらないのである。誰でもしゃべる真理的なもの、だれでも分かる善悪の話はつまらないのであり、新しい驚くべき表現を追求しようとするのが芸術家の喜びである。当たり前の自然を提示されてもつまらない。いつでも 「 美 」 は発見されるのを待っているのである。 「 美 」 は驚きである。驚きは世界を豊饒にする。