歌集

2015-01-31 | 日記

出雲崎にある良寛記念館に寄った。展示室には入らなかったが、受付のあるホールには多くの良寛関係の書籍が販売されている。勿論、新刊本が中心であるが、中には古書もあって、ファンの方々なら垂涎だろうと思われる。

ところで、この本は昭和42年に発行された 『 伊藤呆庵歌集 』 ( 野島出版 ) である。僕は、著者である伊藤呆庵 ( 本名 伊藤喜一郎 ) についてのプロフィールは何も知らないし、しかし、序文を書いているのは、歌人にして良寛研究家の吉野秀雄 ( 1902-1967 ) だったから、この本の著者は信頼するに足るものを持っているに違いない、と思ったのだった。著者は三条市に生まれた実業家で、この時71歳である。九歳の時に父が逝き、歌を詠みはじめたのは享年五十歳だった母への思いと良寛への敬慕からだった、と本人が 「 あとがき 」 に書いている。数首紹介する。

  池底に真鯉緋鯉のすりよりて重なりあへり雪ふれる朝

  いたましき母の背の瘤 (こぶ) かたね瘤ひと世重きをになひたまひき

  淡雪はあるかなきかの風に舞ひ消えて川面にとどかざりけり

  わが一生暮れなむとするひとときの寂滅のひかり美しくあれ

 


レトロ・カフェ

2015-01-30 | 日記

建築ツアーの帰り、えちぜん鉄道・勝山駅まで車で送っていただいた。勝山市では驚きのいい出会いをしたが、この駅舎も驚きで、とても雰囲気のあるいい建築なのだった。聞けば、駅舎は大正時代に作られた姿に近い形で改修された、と言うのである。えちぜん鉄道が、観光客や市民がコーヒーを飲みながら交流できる拠点を目指し整備した、と言う。ご覧の写真のようにカフェも大正時代当時の雰囲気たっぷりに設えてある、のだろう。見た一瞬でさえも素敵な空間である。このカフェを名付けて “ えち鉄カフェ・勝山駅 ” と言う。折があったら、ぜひ立ち寄って見る価値はある。

 


勝山市・中上光雄邸

2015-01-29 | 日記

久し振りのブログになってしまった。ジャーナリストの後藤氏が拘束されて以来、彼が救出されるまではこのブログは書くまいと思っていた。しかし何人かの方々から問合せがあり、体のことを心配されたりしてたいへん有難く思っています。なので、また今日から再開です。

先日の福井の建築ツアーでの写真である。それにしても今回の旅は印象深いものがあった。勝山市という人口3万人前後の地方の一小都市に、世界的建築家である磯崎新デザインの個人住宅が二件も存在しているというのは、驚きの一言であったのである。写真の中上邸は、勿論、磯崎建築である。それに、中上邸のオーナーである中上光雄医師ご夫妻の現代美術に対するパッションは熱い。ご夫妻はこの小さな町で 「 アートフル勝山 」 というコンテンポラリー絵画を愛する会を作り、その啓蒙・支援活動を40年近くに渡って続けられていたことである。と言うのを僕はこの旅で知ったのである。そしてこのご自宅をも、作品展示や会の集まりなどにも快く提供された、と言うのだった。今回の旅の懇親会では、中上邸のサロンが提供されたのである。夜の邸の内部では、もう “ 宴 ” が始っている、だろう … 。

夫人は既に故人となられていたが、中上医師は入院中ということだった。そしてこの27日朝に、亡くなられた、と言う訃報が入ってきた。。88歳であった、と言う。ご冥福をお祈り致します。

 


拘束されたお客様

2015-01-21 | 日記

昨日の午後七時の NHKTV・News で、二人の日本人が 「 イスラム国 」 に拘束された、と言う。その前に東京の友人から電話が入っていて、知ってる人が捕まった、というのだった。後藤健二氏は東京時代のギャラリーのお客様だったのだ!当時の後藤氏の肩書きは、名刺には 「 国際ジャーナリスト 」 とあった。十年前のことである、ギャラリーにヒョッコリ見えられて、自分の娘さんだったかに絵本を買われたように思う。お茶を飲みながらお話を伺っていて、大変な商売をなさっているな、と内心思ったものである。プライベートでは、とても子煩悩な方であるように感じられたのだった。やはりその後のご活躍は、数冊の著書や大学・高校・中学校の講師なども勤められているが、やはり一年の内に数ヶ月は外国、それも中東の恵まれない子どもたちへの支援を念頭においた心優しきジャーナリストであったのだ。

よもやこんな形で、後藤氏とはじめての “ 再会 ” を しようとは!なんとかご無事でおりますよう!お祈りするばかりです。

 


冬の旅

2015-01-19 | 日記

今週土曜日に、福井県勝山市を訪れる予定である。僕はあんまり旅をしたことがないが、北陸地方の一小都市に縁あって行くのである。この地には磯崎新 ( 1931生 ) のデザインになる個人住宅がある。ここを見学し、オーナーや絵を愛する方々と交流するツアーに参加するのである。季節のいい時は高速道を突っ走って長距離ドライヴも楽しみたいところだが、今回は雪の心配があるので、JRで行くことにする。調べると、信越本線・北陸本線を乗り継いで約6時間を所要するのだった。だから、道中の読書と転寝 ( うたたね ) も楽しみなことである。それに、北陸の海岸線を走って見る厳冬の日本海はどんな光景を見せてくれるのだろうか。

翌日の帰路には、金沢に途中下車して、谷口吉生 ( 1937生、父は金沢出身の谷口吉郎 ) デザインの 「 鈴木大拙館 」 を見てくる積もりである。写真で見ても、水の中に建つ館は静謐な佇まいである。美しいデザインには “ 静かさ ” がある。一目でも見てきたい。電車の時間に余裕がないので、金沢の有名な21世紀美術館はよそう、と思う。