SAUL LEITER “ In My Room ”

2018-07-02 | 日記

            

先日購入した、アメリカの写真家ソウル・ライター (1923-2013) の写真集である。ちょうど一年前に東京の美術館でライターの展覧会があった。その時の展覧会カタログ (『ソール・ライターのすべて』2017年 青幻社発行 ) を見て、この写真集が見たいと思っていたが、なぜか今になってしまった。これはモノクロームの写真集で、女性のいるプライベート・ルームを撮ったものである。部屋そのものを撮っているのではなくて、タイトルが言うように、 “ in my room ” 、部屋の中での女性の日々の姿態である。その何気ない被写体に僕は、光と影の美しさに魅了させられるのである。ベッドや床の光景が、白いと黒いで表現される時、そこに女がいる時、そして彼女が何かの仕草をする時、美しいと見るに値しないような光景が写真というフィルターを通して僕の感性を刺激してくるのである。この場合、写真という一個のフィルターを通すことによって、現実から “ esprit ” か何かが引き出されるのだろうか。そしてそれを “ Esthétique ” (美意識) とでもいうのだろうか。いずれにしても、一冊の写真集が何気ないプライベート空間を美的空間に変えるのである。下記はライターの言葉である。

           写真を見る人への写真家からの贈り物は、日常で見逃されている美を時々提示することだ。