2012年6月24日午後7時ころの夕陽。いつからか水平線を見るたびに思うのは、抽象表現主義の画家・ロスコ ( 1903-1970 ) のタブローである。垂直ではないこの水平線が、非常な限りない広がりをイメージさせてくれるのである。ロスコの色面も水平に色が分割されている。垂直の分割ではないのであった。いわゆるロスコ色面が完成される以前の1940年代の作品のイメージは、夕景の空の色だ、と僕は勝手に思っている。
「 限りあるものと限りないもの、私はその両方を描きたい 」 と言ったロスコは、自分の作品が 「 人々の心の奥底に潜む感情と強く通じ合うこと 」 を望んでいたのだったが、しかし、自ら死を選んだ。 「 限りあるもの 」 とは人の命のことであろう、 「 限りないもの 」 とはこの上ないものであり、この美しい惑星の HORIZON のことであるかも知れない。限りある命の中に限りない美が潜み、限りない美の中にはいつか終わるであろう命が生きている。下記はロスコの作品で、共にタイトルは “ UNTITLED ” ( 1949年 )