明日から、我が “ コレクション展 ” が開催される。とても楽しみにしているのでありますが、さてどうなりますか。写真は明日発行の長岡市内の文化情報紙 “ マイスキップ ” 最新号の8月号である。ちょっと読みにくいので下記に原稿を掲載します。
最初に瀧口修造の詩を書く。
恋、
それははじめ氷塊のごとく
それからバラ色になり
燃える真紅になり
ついに完全な黒となり
永遠に結晶する
ひとつの出会い。( 瀧口修造著 『 余白に書く 1 』 より )
若い日から僕は絵画に興味を持ってきた。そしていつかからサラリーを生活に対してよりも、「芸術」に注いできた。僕にとっての「恋」は絵画という「芸術」だった。そして絵画はお金で買うことができたのだった。だんだんと絵が集まるようになって、また絵と共にその資料としての書籍も増えてきて、ついに週末だけ営業のギャラリーを開いた。サラリーマン生活との、いわゆる二足のワラジを履くようになった。「芸術」は僕の生きる支えになった。単に紙やキャンバスに描かれた非実用の絵が僕の慰めと勇気になったのである。不思議なことにこの非実用の紙やキャンバスが、何よりも僕のエスポワールとして僕の深くに張り付いているのである。現実に躓いても、日々の生活に疲弊することがあってもこの非実用の「芸術」が僕にヘコタレナイ人生をもたらしてくれるのである。「芸術」は「永遠に結晶する / ひとつの出会い」なのであった。「芸術」との出会いは、以後、僕の人生に異次元の豊饒をもたらした。この展覧会は、そういう「恋」多き一小市民のドキュメントである。皆様から、すれ違いざまに一瞬振り返ってもらえれば、僕は嬉しい。 ( gallery artbookchair 主宰・酒井実通男 )