空中クロス

2012-05-31 | 日記

        

                     「 舞待夢 」 からの帰り、空中クロスがかかる

        

                        夕陽に祈祷するのは、ヨセ!

「 心にこうむった衝撃の結果として生まれた苦しみは、ひとつのかたちにとどまることに満足できない。人はさまざまな計画を立てたり情報を集めたりすることで、苦しみを消し去ろうとする。あるいは、苦しみが限りない変貌を繰り返すことを願う。その方が自らの苦しみが純粋なかたちで残るより、勇気を奮い立たせなくてすむからである。 」 ( 高遠弘美訳 『 消え去ったアルベルチーヌ 』 より ) 

「 アルベルチーヌさまはトランクを持ってくるようにおっしゃいました。アルベルチーヌさまはお発ちになりました。 」  アルベルチーヌは僕の前から永遠に去って行った。

 


「 西脇順三郎展 」 いよいよ明後日開催です

2012-05-30 | 日記

          

アート四季にて、 「 没後30年 私的・西脇順三郎展 」 の飾り付けを行った。絵画、書籍等の展示点数は約200点くらいになった。思ったより書籍の数が多かったが、自分でもまあよく集めたものだと思う。こんな風に一堂に飾って見たのは始めてのことで、それなりの雰囲気が出ているとも思うが、どうだろう。今回特別に、長岡の情報紙 『 マイ・スキップ 』 のご好意で大きく取り上げていただき、感謝しています。この情報紙は毎月1日に発行されるが、6月号が早くも昨日発行され、画廊にも届けていただいた。ありがとうございます。

明後日の金曜日から開催である。ここでもまた素敵な方々に出会えることを願っています。今回の展覧会を契機に、賛同する人たちを募って 「 西脇勉強会 」 なるものを立ち上げてみたいと思うのである。人数は何人でもいいから、定期的に勉強会を開きたいと思う。現実という “ 竜巻 ” の中でも、静かな瞳を持ちたい。

       “ 浮き上れ、ミューズよ。汝は最近あまり深くポエジイの中にもぐつている。 ”

 


朝活 ( あさかつ )

2012-05-29 | 日記

                    

一昨日の日曜日。 am8:00 から、 「 朝活 」 という名のミーティングをした。5名の方が参集して自分の好きな本を紹介し合った。タリーズ珈琲店のテーブルを囲んでモーニングコーヒーをいただきながら、朝の時間は望まれた時間となった。この日の朝、新しい関係が生まれたのである。吾等はプロファヌスであったが、朝の珈琲の香り立つランプの下、賢者のように語り合ったのである。

美しい料理人は 『 いのちをいただく 』 ことを教えに来た。チャーミングなジムインは 『 南の島の恋の歌 』 を歌った。若き数学教師は、表紙を失った 『 天才 』 は何月に生まれたかを、畑仕事の合間に説いているのだった。六車由美著 『 驚きの介護民俗学 』 を知らしめる為に、健康でなければならないという介護士あり。最後に紹介するのは他でもないジブンである。ワインレッドの表紙の、枕に匹敵するブアツイ 『 西脇順三郎全詩集 』 を、料理人とジムインと数学教師と介護士にミセビラカシタ、のはささやかな一個の老婆心であった。


楸邨とフォークシンガー

2012-05-28 | 日記

岩波書店から 『 加藤楸邨句集 』  ( 岩波文庫 ) が5月に発行された。句集から一句紹介します。

                    雲はみな 動きめぐるや 更衣 

 

2012年の美しい春、もうじき君は30歳になろうとしている。そしてもしかしたら、君はこの本を開いてみようという気になるかも知れない。そしてこの一句が耳に心地よく、タンポポの綿毛を漂わすそよ風にのって、君のところに運ばれていくだろうと、わたしは思う … 。ありとあらゆる夢想、ありとあらゆる希望、ありとあらゆる幻滅と失意が、君の悲しげに光る瞳に見つめられて、昼となく夜となく頭の中で跳ね回っていることだろう。しかしおそらく、わたしはその場にはもういない。わたしは君の姿を見るためだけにそこにいたいのに … 。 35年前、25歳で逝ったフォークシンガー富所正一は歌った、 「 まだ生きていたがかや、おらもう死んだてがに。 まだ生きていたがかや、おらもう死んだてがに … 」 。 リフレインは悲しげにまわる水車である 。

 


フォークソングと夕陽

2012-05-27 | 日記

今日はいろいろあった日だった。タリーズコーヒーで8時から “ 朝活 ” 、中之島美術館で13時から “ 富所正一を偲ぶコンサート ” 。その後、寺泊海岸まで車を走らせ夕陽を見る。西洋骨董店 “ プロポゼ ” の閉店間際に飛び込む。女性オーナーは相変わらず 「 失語症の反対 」 でエンタティナーであった。

それにしても25歳で逝った富所のフォークソングは人を笑わせ、そしてちょっと哀しいのだった。彼が自死して35年が経ったが、会場に集まったのは50人を越えていた。彼ゆかりの二人の白髪のフォークシンガーの歌は、いずれも優しさに溢れていて70年代の青春を思い出させるのであった。

きょうの日 の青い空と海の色は、昔に去った恋人の哀しい瞳の色でもあった。ゆっくり流れて行く白い雲。そうして人々の青春が暮れて行った。目の前にする日本海の夕陽は、今、切ない恋をする人の心と頬を赤く濡らして、今日も何事もないように遠く、青く深い海に沈んで行くだろう。

夕暮れの海よ、一日が傷つけた傷を静かに慰めよ!