満月の夜に

2012-08-31 | 日記

          

普段と変わりない夜である。月光は夜のウォーキングには明るくていい。刈谷田川の水面も銀色に光りながら流れて行く。唐突に、 『 ダブリンの市民 』 ( ジェイムズ・ジョイス作 1914年出版 ) もこういう満月を見るんだろうな…。今、この本を読んでいるので…ちょっと思って見ただけであるから、こんな夜は ( それにしても暑い夜である ) 虫の音に静かに耳かたむけて見ようか。

 『 ダブリンの市民 』 ( 2004年刊 岩波文庫 結城英雄訳 ) から 「 痛ましい事故 」 の冒頭である。

ミスター・ジェイムズ・ダフィは、チャペリゾットに住んでいた。自分もその市民の一人であるダブリンからできるだけ離れて暮らしたかったから、また他の郊外地区は品がなく、近代的で、気取りがあると思えたからだ。彼は古い陰気な家に住み、窓からは目の前に廃屋の蒸留酒製造所が見晴らせ、上手にはダブリンを貫流するリフィ川の浅瀬が広がっている。絨毯の敷かれていない部屋の高い壁には絵も飾られていない。部屋の家具はすべて彼がひとりで買ったものだ。黒い鉄製のベッド、鉄製の洗面台、四脚の籐椅子、洋服掛け、石炭入れ、炉格子、炉用鉄器具、二層底の手箱の載せられている四角いテーブル。書架は床の間に白木の棚で作られている。  ( 以下略 )

なぜかこの文章がとても気に入っている。 「 痛ましい 」 現実が始まろうとしているかのような、始まらなくてもいいのであるが、淡淡と書かれている。僕の現実も淡淡であり坦坦としている。月は深更になって更に皓皓としてきた。

 


コーラ と 『 手帖 』 と

2012-08-30 | 日記

               

                        暑い日はコーラを飲む

ファミレスで、少し早めに来て人を待つ間、冷たいジュースをお代わりする。 『 暮しの手帖 58 』 ( 初夏 2012 ) を読みながら、夕方の時間がゆっくり過ぎて行く。表紙の裏の1ページ目に 「 口上 」 が書いてある。

    これはあなたの手帖です

   いろいろのことがここには書きつけてある

   すぐ今日あなたの暮しに役立ち

   せめてどれかもう一つ二つは

   すぐには役に立たないように見えても

   やがてこころの底ふかく沈んで

   いつかあなたの暮し方を変えてしまう

   そんなふうな

   これはあなたの暮しの手帖です

今回の記事では、 「 ナポリタンとミートソース 」 のレシピが掲載されているのが気になった。ちょっと作ってみようと思う。それに 「 子どもにやさしいアイスクリーム 」 もいいと思う。子供にだけではなく大人にも優しいだろうから、またタイミングがいいことに今夜、隣の未亡人がカボチャ二個と茄子多くを持って来てくれたから 「 カボチャのアイスクリーム 」 を作ってみようか。 「 口上 」 の 「 すぐには役に立たないように見えても やがてこころの底ふかく沈んで いつかあなたの暮し方を変えてしまう 」 という相当怖いお話だけど、いつか僕の暮らしを変えてしまうかも知れない。そういえばまだあって 「 お母さまの代から、80年もののレシピ 」 のタイトルで、 「 ボルシチ 」 が紹介されている。これにも挑戦しなければならないだろうから、 『 手帖 』 恐るべし!である。他にも 「 住まいのヒント 」 が参考になった。

 


懐かしい gallery abc の写真

2012-08-29 | 日記

             

       

ほかの写真を探していたら、東京・目黒時代の gallery artbookchair の写真が出てきたので掲載します。ここでたくさんの素敵な人たちと出会いました。ここでの出会いは僕の大切な心の財産になりました。迷いや悩み、悲しいこと、辛いことがあるといつも abc を思い出します。集まってくれた人たちの一人一人のことを思うと、感謝の気持ちでいっぱいになります。

       

            ある日の個展オープニングパーティーで、皆で作ったお料理

 


松代町 「 農舞台 」 の食堂

2012-08-28 | 日記

    

レストランと言った方がいいのか、食堂のインテリアカラーは薄いブルーで統一されていた。椅子もテーブルも厨房も、である。僕の中では、こういう食べ物を扱う所にはどうもブルーは合わないのではないかと常々思っていただけに、実際こんな感じがなかなかいいのであった。清涼感があり清潔な感じもする。これも日曜日の 「 大地の芸術祭 」 でのスナップ。 ( 蛇足、お昼だったがここでは食べずに、隣にあった地元の食堂で 「 かつ丼 」 ¥780 を食べた。前日からどうもカツドンが気になっていた。 )

 


「 住まいの基本 」 について

2012-08-27 | 日記

昨日のブログをパラフレーズする訳ではないけど、掲載後いろいろ考えてそういう話も書いて見ようと思って、そういう話というのはやっぱり 「 家 」 についてのことで、僕の好きな建築家にアントニン・レーモンドがいるけれど、そのレーモンドの特集が 『 住む。 』 ( 2002年創刊春号№1 泰文館刊 ) に載っていた。つまりレーモンドの言葉を聞くにこしたことはない。下記は彼の言葉である。

「 最も簡潔にして直截、機能的にして経済的、かつ自然なるもののみが真に全き美を有する 」

「 経済性もまた重要である。これは決して安くつくるということではない。何事も無駄にしないということである 」

「住宅は単純であればあるほど、控えめであればあるほどその環境の付随的な役割を果すことになる 」

「 自然は人工よりも美しい。簡素と軽快は複雑より美しい。建物の広さにしても材料にしても節約は浪費より美しい結果を生む 」

「 デザインにおいて表現の手段が単純になればなるほど、その表現力は力強くなり、真実になり、したがって美しくなる 」