粟ヶ岳雪景

2010-12-17 | 日記
長岡市郊外より望む粟ヶ岳 ( 標高1,293m ) 全景。今日はだんだんと雲がとれてきて晴天になりました。雪景が一段と空の青さを青くし、また冬晴れも白い世界を一段と白くしています。この青と白の世界をもたらしているのは澄んだ空気にほかなりません。月も微かに見えています。

ここで唐突に浮かんだ、先日のNHK ( BS ) で放送されたジャズピアニスト・秋吉敏子がインタビューで言っていた言葉。

 Be kind to yourself.

あなた自身へもっと親切になりなさい、という意味で、自分の中の可能性をもっともっと探りなさい、それがあなた自身への最大な親切なのです、ということ。自分自身に忠実である仕事が他の人々の喜びとイクォールであるといいですね、とも仰っていました。自分の中の未踏世界を拓く言葉だと思います。玩味すべし実行すべし。


雪の朝

2010-12-16 | 日記
きのう一日中降り続いた雪の、今朝の窓から見る白い世界です。12月に入ってからも天気が続いてそんなに寒くはなかったのですが、やっと冬になりました。雪が降らないと冬の実感が湧いてこなかったのです、これで正真正銘の冬になったようです、雪の季節がやってきたのでした。
雪は、生活上としてはヤッカイな代物ですが、しかし心情的にはいいものだと思います。落着いて静かな時を過ごせればいいのですが…。

雲間の薄い千切れから青空が染み透って、その間隙には太くなりかけた朝の月が浮かんでいます。これからの数ヶ月、この重々しい冷たい雪と付き合わなくてはなりません。でも雪に負けない体力と良寛の 「 われはひとりあそびぞ好めり 」 の心があると、雪に閉ざされた世界も…、まあいいものです。雪国の誰の屋根にも雪が降ったのでした。


セザンヌ と ガスケ

2010-12-02 | 日記
これはポール・セザンヌ ( 1839-1906 ) の油彩画 “ ガスケの肖像 ” ( 1896-1897作 ) です。岩波文庫版 ガスケ著 『 セザンヌ 』 ( 與謝野文子訳 ) の扉に掲載されています。僕は今までセザンヌの絵はあんまり好みませんでしたが、この本と肖像画に出会って以来少しセザンヌを見る見方が変ってきました。左目が潰れたような、右目の見つめるような憂いのある傾く詩人・ガスケ。塗り残しのあるマチエールには、静謐の中に人生の哀歓がただよっているように思います。そして何より詩人になのか画家本人になのか、深い眼差しがあります。見ていて飽きることがない、僕にとっての心の慰めと希望であると言っても過言ではありません。こういう絵を描くにはどうするんだろう、何が必要なんだろう、と思う今日この頃です。

ガスケ ( 1873-1921 ) はセザンヌの歳若い友人だった。セザンヌがガスケに語った言葉、「 私は太陽に憂鬱を混ぜてみたい…プロヴァンスには今まで誰も表していない一種の憂鬱がある。…私はプッサンみたいに、草の中に理性をこめ、空には慟哭を盛りこんでみたい…。趣味というものがある、趣味が最も良い判断をさせるのだ 」 というのが印象が残っています。そして 「 目の前にあるものを描いて、筋道通りに努力しさえすればいいのだ。誰のことを信じずに仕事をする、力をつけてゆく。あとのことはくだらん… 」 には、先に書いた藤原定家の manifestation 「 世上亂逆追討雖滿耳不注之、紅旗征戎非吾事 」 に近いものを感じます。