今日もいい天気になりました。窓を開けておくと家の中にも春風薫るの、いい風のそよぎである。なので、絵もそんな感じの絵が出来上がったのだった。午前中は、今、東京の三菱一号館美術館で開催中の『ルドンー秘密の花園展』のお借りした展覧会カタログを見ていたが、おこがましくもオディロン・ルドン (1840-1916) に触発されてスケッチブックを開いたのだった。年譜によるとルドンは24歳の時にカミーユ・コロー (1796-1822) に出会っているが、ルドンはコローの言葉としてこんなことを記している、というのである。
「不確かなものの傍には、確かなものをおいてごらん」とコローは私に言った。そして繁った木の葉が一枚ずつ刻み込まれたように描かれているペンのデッサンを見せてくれた。「毎年同じ場所に行って、木を描くといい」と彼はつけ加えた。
そして、僕はいつもの二階の窓を開け放して、田んぼの水面の揺らぎの風薫る、を五感で見ているのである。風は「不確か」で、薫るも「不確か」で、にもかかわらず僕はそれらを「確か」に感じているのである。そうして思うのは、僕は「不確か」な風と「不確か」な薫るを、いつかに描いて見たいと思うのである。