アジアと小松

アジアの人々との友好関係を築くために、日本の戦争責任と小松基地の問題について発信します。
小松基地問題研究会

植樹祭弾圧に対する心構え

2013年04月14日 | 公園論


 金沢市議会議員の公職選挙法違反(文書配布)事件について、Mさんは4月5日に罰金を払い、公民権停止2年が確定しました(公民権停止は憲法1条国民主権に違反している)。2年後の小松市木場潟公園植樹祭にむけての政治弾圧の第1弾であり、強く抗議します。

 階級闘争と政治弾圧はメダルの表裏です。たたかいが進むところには必ず政治弾圧が待ち受けています。放置自転車を修理して使ったら、占有離脱物横領。住民票のある住居にしばらく帰らなかったら、公正証書原本不実記載。ペンネームで旅館に泊まったら旅館営業法違反。抗議をすると公務執行妨害(転び公妨)。世間では普通におこなわれていることが「犯罪」とされ、活動家は逮捕されてきました。

 ですから、弾圧に対する心構えを持たなければ、野球でいえば、ホームランバッターをそろえていても、優秀な野手がいないようなもので、これでは勝負に勝てません。

 ブログ「いま珠洲がおもしろい」で、「(今回の事件は)後援会への加入依頼を主たる目的とした文書で、グレーゾーンだ」と書かれていたので、気になり調べてみました。

選挙運動の自由について
 1966年に国連総会で採択された「自由権規約」第25条は「すべての市民は、第2条に規定するいかなる差別もなく、かつ、不合理な制限なしに、次のことを行う権利を有する。(a)直接に、又は自由に選んだ代表者を通じて、政治に参与すること。(b)普通かつ平等の選挙権に基づき秘密投票により行われ、選挙人の意思の自由な表明を保障する真正な定期的選挙において、投票し及び選挙されること。(c)一般的な平等条件の下で自国の公務に携わること。」として、個人の政治に参与する権利について保障しています。

 さらに、第19条は「①すべての者は、干渉されることなく意見を持つ権利を有する。②すべての者は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。③②の権利の行使には、特別の義務及び責任を伴う。したがって、この権利の行使については、一定の制約を課することができる。ただし、その制限は、法律によって定められ、かつ、次の目的のために必要とされるものに限る。(a)他の者の権利又は信用の尊重、(b)国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護」と規定して、表現の自由一般を保障しています。

 文書図画頒布の制限について、最高裁は「(無制限の頒布・掲示を認めると)選挙運動に不当の競争を招き、これが為、却って選挙の公正を害し、その公明を保持しがたい結果を来たすおそれがあると認めて、かかる弊害を防止するため、選挙運動期間中を限り、文書図画の頒布、掲示につき一定の規制をしたのであって、この程度の規制は、公共の福祉のため、憲法上許された必要且つ合理的な制限」(1965年)と判示しています。

 一般的に、①多額の出費に伴う経済上の不平等(いわゆる金権選挙の発生)、②無責任、悪意の文書の横行、③選挙人にとっての迷惑などの回避という目的で、文書図画の配布を制限しているのでしょうが、今回の事件はこの制限条項にさえ当てはまるとは思えません。

 憲法上の表現の自由・民主主義(グレーゾーン)をめぐる問題として、たたかい(本裁判)に挑むべきだったと思います。「これでうるさいやつがいなくなった」と胸をなで下ろす議員もいると思いますが、中には、不服を申し立てないことに危機感を持った議員もいるでしょう。新聞の見出しに「驚きと動揺」という見出しがあるのはその現れではないでしょうか。

公民権とは
 ウィキペディアによれば、「公民権とは、公民としての権利のこと。公民としての権利とは、公職に関する選挙権・被選挙権を通じて政治に参加する地位・資格、公務員として任用される権利(公務就任権)などの総称で、参政権、市民権とほぼ同じ意味である。」とされています。公民権停止とは人間としての活動(政治的活動)を全面禁止する重大な政治弾圧です。

過去の経験・判例から
 1973年、小松市長の竹内伊知さんが「経歴詐称」(公職選挙法335条1項:虚偽事項の公表罪)で起訴されたとき、だれもが「勝ち目はない」と思いましたが、弁護団・支援者(県評事務局長:平田誠一)が全力でたたかって、2回目の選挙では、前回よりも710票上乗せして当選しました。

 竹内さんはあきらめずにたたかいぬいて、弾圧をはねかえし(無罪)、人民からの信頼を回復したのです(1972年:29931票、1976年:30641票、1980年:30680票)。

 また、1972年11月には、戸別訪問で選挙違反に問われていたK金沢市議に、金沢簡易裁判所は「罰金7000円」の判決を下しました。しかし、「被告人は現在市議として活動している」として、公民権を停止しませんでした(11/16「毎日新聞」)。このような判例(ちょっと古すぎるのかなぁ)があり、公職選挙法そのものの違憲性も問われており、裁判で主張し、決着をつけるべきでした。

植樹祭弾圧への心構え
 安倍政権は国家安全保障会議を設置し、秘密保全法を制定し、9条改憲(戦争のできる国)に向かっています。情報を統制し、反対する人たちを弾圧して、自衛隊の海外派兵へと突き進もうとしています。

 石川県では、2年後の全国植樹祭に向けて、今回のM市議への弾圧をその第1弾とし、政治弾圧が強化されることが予想されます。はね返して、前進しよう。
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