20240126 続・地震後の志賀原発情報
前便(1/16)では、志賀原発を巡る情勢について次のようにまとめた。
(1)2号機変圧器で「爆発のような音と焦げ臭い匂い」、消火設備(放圧板、消火設備)が起動した。外部からの電気が入らない。予備変圧器に切り替えた。原因は配管の破損。絶縁油漏れは3500㍑(1/2)→7100㍑(1/3)→1万9800㍑(1/5)。
(2)外部電源復旧(5回線中2回線)には半年かかる。
(3)核燃料貯蔵プールでは、冷却ポンプが一時停止し、地震動によって421㍑の放射性汚染水があふれ出た。
(4)原発周辺(30キロ圏内)に設置されている120台のモニタリングポストのうち、18台が機能停止。
(5)原発周辺での震度は1/1香能(10キロ北方)で震度7、原子炉建屋直下で震度5強399ガル(←K-NET志賀町富来観測点で2828ガル)。香能で1/6震度6強、1/16震度5。
(6)地殻変動については、輪島・鹿磯漁港で3・9㍍隆起、五十洲漁港で4・1㍍隆起、輪島で124㎝西方へ移動(→後に200㎝に訂正)。赤崎漁港(志賀町)での隆起は0.3㍍だったが、海岸線が250㍍移動した。原発敷地内では、物揚場(港)で35㎝沈下、防潮壁、港湾施設、道路などで段差。今回の震源断層は未評価だった。
2012年の調査で
2012年に、鈴木康弘さんと渡辺満久さんが富来川南岸断層の陸上部分を調査し、「北電の海底調査の分析から、富来川南岸断層は志賀原発の西側の海域までつづく」「活断層の可能性」を指摘し、対する北電は「少なくとも後期更新世以降の活動はなく、原発の耐震性には影響ない」と答えている(2012/5/4『北陸中日新聞』/見出し画像)。
しかし、2021年になって、北電は「(富来川南岸断層は)活断層の可能性は否定できない」としぶしぶ認めていた。
富来川南岸断層が動いた
日本地理学会災害対応チーム(鈴木康弘:名古屋大学)が13、14日、石川県志賀町の富来地区を調査し、「震源となった断層のほかに、およそ20キロ離れた内陸の断層もほぼ同時に動いていた」「富来川南岸断層(志賀原発北方9キロ/地図上の赤字ライン)の地表には、長さ3キロ以上のズレやたわみが続いている」「富来川南岸断層は最大50センチの隆起と数十センチの横ずれが確認された」と『北陸中日新聞』(1/17)や『東日本放送(ネット記事)』は報道している。
鈴木さんは「今回活動した断層はさらに沖合へつづく可能性がある」(1/17北中)と話し、対する北電は「当社としては把握していない」と無視したがっている。まさに、志賀原発周辺には活断層が縦横に走り、繰り返される地震で志賀原発の地盤はゆがみ、原子炉にじわじわと影響を与えつづけている。さらに、富来川南岸断層の南端で今回のような大地震が起きれば、志賀原発はひとたまりもないだろう。
外部電源も非常用発電機も
『北陸中日新聞』(1/18)は1月16日におきた震度5弱の地震後、非常用ディーゼル発電機の点検をしたところ、自動停止したという。1号機には3台の非常用発電機があり、これらの発電機は外部電源が遮断された時、炉心に高圧注水するための応急用発電機である。
現在、外部電源5回線のうち、2回線が止まっており、残り3回線で原子炉などを冷却しているが、外部電源が使えない時の緊急用の発電機さえ一部が使えなくなっているのである。こんな状態で、「安全です」などと言わせてはならない。
即刻廃炉を!
大地震が起きて、志賀原発が暴走すれば、周辺住民は避難しようにも、その避難路は隆起やひび割れが起きて陸路(車)は使えない。漁港は隆起して陸となり、津波が襲ってくれば、海路(船)も使えない。そのなかをどうして、遠隔地に移動することが出来るだろうか。
北陸電力は、志賀原発によって、中京・関西地域に売電して金儲けをしているが、周辺住民を生き地獄に追い込もうとしている。北電は即刻廃炉の準備に入れ! 核燃料を安全なところに移動せよ(地震列島日本にはあるはずがないが)。
1月30日『北陸中日新聞』記事より
小出裕章さんへのインタビュー記事
★志賀原発が10年にもわたり停止していたことが何より幸いだった。原発の使用済み燃料は…10年たつと発熱量は…1000分の1以下に低下する。外部電源の一部系統が使えなくなり、非常用発電機も一部停止した。稼働していたら、福島第1原発と同様の経過をたどったかも知れない。
★制御棒でウランの核分裂反応を止めても、21万㎾分の崩壊熱は止められない。福島でも…崩壊熱を止めることが出来ないまま、電源がなくなり、冷やせないために炉心が溶けて、放射性物質が大量に出てしまった。
★北陸電力の耐震設計は甘かった。運転中の原発で変圧器がダメでした、ということになれば、それこそ事故に直結してしまう。
★地震を予知できた試しはかつて一度もない。今回、活断層が150キロにわたって連動した可能性が指摘されている。こういったことが起きて「想定外」だったという。重大な結果を招く原発に関して、想定外なんて言い方はしてはならない。
北陸電力は「想定内」
★能登半島地震と同規模の地震が発生しても、「同時に全外部電源が失われても『止める』『冷やす』『(放射性物質を)閉じ込める』の安全機能を満足できる設計になっている」―と言っている。
下記画像をクリックして下さい
1月31日『北陸中日新聞』記事より
★志賀原発の重大事故時の避難ルートに定めた国道や県道計11路線のうち過半の7路線で…通行止めが起きた
★原発周辺9市町の住宅被害は2万件超。屋内への一時避難も組み合わせ、30キロ圏外へ確実に逃げる計画の実効性が揺らいでいる。
★避難計画は再稼働に欠かせず、…規制委員会は指針見直しを検討している。
★避難の判断に用いる放射線監視装置(モニタリングポスト)は石川、富山両県に設置された116カ所のうち18カ所が測定不能になった。
下記画像をクリックして下さい
前便(1/16)では、志賀原発を巡る情勢について次のようにまとめた。
(1)2号機変圧器で「爆発のような音と焦げ臭い匂い」、消火設備(放圧板、消火設備)が起動した。外部からの電気が入らない。予備変圧器に切り替えた。原因は配管の破損。絶縁油漏れは3500㍑(1/2)→7100㍑(1/3)→1万9800㍑(1/5)。
(2)外部電源復旧(5回線中2回線)には半年かかる。
(3)核燃料貯蔵プールでは、冷却ポンプが一時停止し、地震動によって421㍑の放射性汚染水があふれ出た。
(4)原発周辺(30キロ圏内)に設置されている120台のモニタリングポストのうち、18台が機能停止。
(5)原発周辺での震度は1/1香能(10キロ北方)で震度7、原子炉建屋直下で震度5強399ガル(←K-NET志賀町富来観測点で2828ガル)。香能で1/6震度6強、1/16震度5。
(6)地殻変動については、輪島・鹿磯漁港で3・9㍍隆起、五十洲漁港で4・1㍍隆起、輪島で124㎝西方へ移動(→後に200㎝に訂正)。赤崎漁港(志賀町)での隆起は0.3㍍だったが、海岸線が250㍍移動した。原発敷地内では、物揚場(港)で35㎝沈下、防潮壁、港湾施設、道路などで段差。今回の震源断層は未評価だった。
2012年の調査で
2012年に、鈴木康弘さんと渡辺満久さんが富来川南岸断層の陸上部分を調査し、「北電の海底調査の分析から、富来川南岸断層は志賀原発の西側の海域までつづく」「活断層の可能性」を指摘し、対する北電は「少なくとも後期更新世以降の活動はなく、原発の耐震性には影響ない」と答えている(2012/5/4『北陸中日新聞』/見出し画像)。
しかし、2021年になって、北電は「(富来川南岸断層は)活断層の可能性は否定できない」としぶしぶ認めていた。
富来川南岸断層が動いた
日本地理学会災害対応チーム(鈴木康弘:名古屋大学)が13、14日、石川県志賀町の富来地区を調査し、「震源となった断層のほかに、およそ20キロ離れた内陸の断層もほぼ同時に動いていた」「富来川南岸断層(志賀原発北方9キロ/地図上の赤字ライン)の地表には、長さ3キロ以上のズレやたわみが続いている」「富来川南岸断層は最大50センチの隆起と数十センチの横ずれが確認された」と『北陸中日新聞』(1/17)や『東日本放送(ネット記事)』は報道している。
鈴木さんは「今回活動した断層はさらに沖合へつづく可能性がある」(1/17北中)と話し、対する北電は「当社としては把握していない」と無視したがっている。まさに、志賀原発周辺には活断層が縦横に走り、繰り返される地震で志賀原発の地盤はゆがみ、原子炉にじわじわと影響を与えつづけている。さらに、富来川南岸断層の南端で今回のような大地震が起きれば、志賀原発はひとたまりもないだろう。
外部電源も非常用発電機も
『北陸中日新聞』(1/18)は1月16日におきた震度5弱の地震後、非常用ディーゼル発電機の点検をしたところ、自動停止したという。1号機には3台の非常用発電機があり、これらの発電機は外部電源が遮断された時、炉心に高圧注水するための応急用発電機である。
現在、外部電源5回線のうち、2回線が止まっており、残り3回線で原子炉などを冷却しているが、外部電源が使えない時の緊急用の発電機さえ一部が使えなくなっているのである。こんな状態で、「安全です」などと言わせてはならない。
即刻廃炉を!
大地震が起きて、志賀原発が暴走すれば、周辺住民は避難しようにも、その避難路は隆起やひび割れが起きて陸路(車)は使えない。漁港は隆起して陸となり、津波が襲ってくれば、海路(船)も使えない。そのなかをどうして、遠隔地に移動することが出来るだろうか。
北陸電力は、志賀原発によって、中京・関西地域に売電して金儲けをしているが、周辺住民を生き地獄に追い込もうとしている。北電は即刻廃炉の準備に入れ! 核燃料を安全なところに移動せよ(地震列島日本にはあるはずがないが)。
1月30日『北陸中日新聞』記事より
小出裕章さんへのインタビュー記事
★志賀原発が10年にもわたり停止していたことが何より幸いだった。原発の使用済み燃料は…10年たつと発熱量は…1000分の1以下に低下する。外部電源の一部系統が使えなくなり、非常用発電機も一部停止した。稼働していたら、福島第1原発と同様の経過をたどったかも知れない。
★制御棒でウランの核分裂反応を止めても、21万㎾分の崩壊熱は止められない。福島でも…崩壊熱を止めることが出来ないまま、電源がなくなり、冷やせないために炉心が溶けて、放射性物質が大量に出てしまった。
★北陸電力の耐震設計は甘かった。運転中の原発で変圧器がダメでした、ということになれば、それこそ事故に直結してしまう。
★地震を予知できた試しはかつて一度もない。今回、活断層が150キロにわたって連動した可能性が指摘されている。こういったことが起きて「想定外」だったという。重大な結果を招く原発に関して、想定外なんて言い方はしてはならない。
北陸電力は「想定内」
★能登半島地震と同規模の地震が発生しても、「同時に全外部電源が失われても『止める』『冷やす』『(放射性物質を)閉じ込める』の安全機能を満足できる設計になっている」―と言っている。
下記画像をクリックして下さい
1月31日『北陸中日新聞』記事より
★志賀原発の重大事故時の避難ルートに定めた国道や県道計11路線のうち過半の7路線で…通行止めが起きた
★原発周辺9市町の住宅被害は2万件超。屋内への一時避難も組み合わせ、30キロ圏外へ確実に逃げる計画の実効性が揺らいでいる。
★避難計画は再稼働に欠かせず、…規制委員会は指針見直しを検討している。
★避難の判断に用いる放射線監視装置(モニタリングポスト)は石川、富山両県に設置された116カ所のうち18カ所が測定不能になった。
下記画像をクリックして下さい