アジアと小松

アジアの人々との友好関係を築くために、日本の戦争責任と小松基地の問題について発信します。
小松基地問題研究会

2冊の沖縄本

2012年08月15日 | 沖縄基礎情報
2冊の沖縄本

 「大田昌秀さん講演会報告集」を読んだ。2010年10月に富山市でおこなわれた講演録である。以前、金沢で大田さんの講演を聞いたことがあるが、資料(数字)をいっぱい並べて、学者の研究発表のようで、なかなか理解が進まなかったように記憶している。
 今回の講演(録)は平易な言葉で語られている。編集者の力量もあるのだろう。
 辺野古新基地建設、高江ヘリパッドそしてオスプレイ配備と、立て続けに沖縄の米軍基地を強化しようとしている。沖縄を「供え物」のように米軍に差し出すことによって、本土を守るという、戦前とまったく変わらない状況がある。本土の私たちの無関心がそうさせている。
 私たちは、まずは知らなければならない。そのためには読まなければならない。そして真実をつかんだら、意思表示が待っている。
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 辺野古について大田さんは3点を提示している。
(1)環境保護。
 大田さんが県知事の時、3年かけて沖縄全域の環境調査をおこない、①開発を認める、②一部開発を認める、③一切開発を認めないと、分類した。辺野古は「一切の開発を認めない、現状のまま保全すべき」第1位にランクされている。
(2)辺野古の海は住民の命(生活)の源泉。
 戦時中や米軍の占領時に、住民は辺野古の海から魚を捕って、かろうじて命を繋いだ。
(3)経済的な問題。
 沖縄経済の中軸は観光産業である。大浦湾辺野古一帯はエコツーリズムの一番の中心地だ。

 大田さんは辺野古基地建設の狙いを次のように説明している。
 「沖縄の米軍基地(海兵隊)が抑止力という主張があるが、海兵隊は半年間留守にしており、この論はあたらない。辺野古新基地は関西空港なみの大きさで、水深30メートルなので、航空母艦を横付けできる。陸からも、海からも爆弾を積めるような基地にしようとしている。普天間の代替基地ではなく、20%強化された新基地だ」

 去る8月1日の「北陸中日新聞」によれば、米高官は「日本の防衛ということなら沖縄は要らない。沖縄の基地を必要とするのは極東の安全のためだ」(1967,1)と発言している。沖縄の基地群は日本防衛のためではなく、周辺諸国への攻撃のための基地群である。沖縄の問題ではなく、日本の問題だ。

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 5月に、『沖縄の記憶』(奥田博子著)が発行された。
 副題には「支配と抵抗の歴史」と記されている。序文のことば(趣旨)が気になった。
・沖縄問題は都市と地方の格差の問題である。東京に資本が集中し、沖縄に米軍基地が集中している。
・ウィクリークスによれば、米国外交官による日本の政治情勢の分析や政治提言がトルコ、イラクに次ぐ3番目に多い。
・資源や労働力を入手するための戦争(領土獲得)から軍産複合体による経済活動への変遷。
・2010年4月5日の県内移設反対の読谷村集会は住民投票と同じ重さがある。
・貧困による社会的排除から日本人は「日本人であること」が唯一の拠り所となりやすい。(石原慎太郎は尖閣諸島購入問題で排外主義を扇動している)
・戦後日本の「非武装中立」という思想は、米軍の日本駐留を受け入れ…、それは「自主防衛」を支える政治思想(でもあった)。
・本土における沖縄の記憶を批判的に捉え返すにあたって、…本土は沖縄の抵抗(レジスタンス)を知る必要がある。

 この本は400ページを超える大作だが、最後まで読まなければならない。
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