フィヨルドの変人 ~Odd person in fjord~

ぇいらっしゃ~い!!!

名前も持たない 雑種の野良犬

2015年12月21日 22時03分28秒 | 日記
とある夜のこと。
年を取って眠りが浅くなったぬたりは最近些細なことで目を覚ますようになった。ツイッターで時折ネタにしている「うなされて起きた」のもその影響。昔のぬたりなら、悪夢を見たとしても起きるくらいならうなされ続けた方がマシ、という感覚で滅多なことでは起きない睡眠の深さを誇った。
それ故、眠りが浅くなったとは申せ、同年代の人間に比べれば今でも眠りは深い方だと思う。実際、夜中の地震とかでも、騒ぎには起きて気付く、なんてことはしばしば。ちなみにおかあちゃんはぬたりに輪をかけて眠りは深く、本当に滅多なことでは目を覚まさない。
閑話休題。
その日もぬたりは夜中に目を覚ました。理由は犬の鳴き声だ。時計を見ると夜中3時過ぎ。家から至近距離で不定期に犬の鳴き声が聞こえる。
夜中の眠い頭である。どこかんちの飼い犬か、と短絡的に思ったものの余り腑には落ちない。あいさつ回った時に犬を飼ってる家なんか無かったはずだ。その後も不定期に聞こえる犬の声になかなか寝付けなかったが、気がつけば朝になっていた。
当日は地区の道路清掃があり、ぬたりんちは初参加ということで、少し気合いを入れて早めに目覚ましをセットしており、平日に起きるのとほぼ同じくらいの時間である。
そしてまだ鳴いている犬。
夜中よりもはっきりした頭で違和感は夜より大きくなる。これだけ長い間鳴き続けていて、何もしない飼い主はいくらなんでもおかしい(まあ、完全にコントロールできるもんがないが)。まさか野良犬が居着いたんじゃなかろうな? しかし野良犬がそんなに1か所に居ついて鳴くか?
窓を開け家の周りを見る。犬の姿は見えない。そして響く犬の声。
近すぎるだろ。
声的にはぬたりんちと道を挟んだ隣の家あたりの空間から響く感じ。ぬたりんちに飼い犬がいない以上、隣んちが飼い始めたかとも思うが、前述のように庭に姿はない。そもそも隣の家に動きがない。
ところでぬたりの実家は昔、犬を飼っていた。父親が狩猟を趣味としていた関係上(もうずいぶん前に免許は返上した)、飼っていたのは猟犬である。このためある程度は犬についての慣れもあった。鳴き声から攻撃性は感じられないと判断したぬたりは外に出てみることにした。ホームセンターで買った安物の半纏を羽織って外へ(寒いしね。綿入り半纏は暖かいんだよ)。
だが、外に出てみてもよく分からない。ぬたりんちに立つと、どう考えても隣の家の庭先辺りから声が聞こえるが、犬はいない。だが、声が直接響く&隣宅の反響が聞こえることから、ぬたりんちと隣宅の間の空間に犬がいることは間違いない。ぬたりとおかあちゃんの車の下にもおらず、じゃあ、隣んちの車の下か? と失礼ながら隣んちの敷地に近づいて、道と隣宅の敷地の境にある側溝のグレーチングをまたいだ。
茶色い物体が、その中にいた。
思わず声を上げたのは言うまでもない。側溝と言っても大きなサイズではない。深さは30センチがトコだろう。そこに伏せのような体制で茶色い犬がいた。こいつが声の主か。犬の後方、5メートルくらいのところには水路への分岐があるから、おそらくここから入り込んだんですね。それにしてもよくもまあここまで進んだもんだ。

そうと分かれば・・・えっと、どうしたら良い?

人間とっさのことになると頭が回らない。犬と言えば・・・保健所だ、と思いつくのに10秒程度かかる。そうだ保健所だ保健所。えっと、電話番号は・・・って、休日のこんな朝に保健所がやってるわけねーよ。
溺れる者は藁をも掴む。保健所やってるのは市役所なんだから、ってんで市役所の当直にかける。えっと、野良犬がいるんですが。
当直「市役所では野良犬の関係やってないんですよ」
ぬたり「では、どこに連絡したら良いですかね?」
当直「警察ですね」
惜しいやりとりだなあ。「市役所でやってない」の最初の言葉が余計なんだよね。こちらが知りたいのは「どこに連絡したら良いのか」であって「市役所がやっているか否か」では無い。最初から「そうですか。この時間は警察に連絡ですね」の一言で足りる。余計なこと言うから「たらい回し」とかって言われちゃうんだよね。
で、警察にTEL。こちらはもうかっつりマニュアルがあって、こっちの好きに話させて貰えない。また間の悪いことに、ぬたりんちは新築のため、警察の地図にまだ載ってない。家の場所の細かい説明までしなきゃなんなくなった。結構おろおろしたぜ。
「分かりました。警察官を向かわせます。細かい場所把握のために現場にとどまっていただくことは可能ですか? 大丈夫ですか。それでは服装をお聞かせください。」改めて自分の服装を見直す。
「えっと、ホームセンターで買った毛玉がいっぱいついた半纏です」・・・などと言えるか(その前に半纏で外をうろつくなよ)
とっさに半纏の下に来てた「グレーのフリースです」と告げる。
まあ、細かい場所も何も現場近くまで来れば犬が鳴いてるわけで、近くまで来れば場所は分かる。ぬたりが余りの寒さに室内に避難したちょうどその時に警察官がやってきて早速確認しだしたので外に飛んでいく。
しかし、救出は少し時間がかかった。グレーチングがなかなか外れなかったのだ。実際ぬたりも持ち上げてみたが、びくとはしたが、びく、くらいしかしなかった。
しかし普段鍛えられた警察官は違いますね。「ハマってんのか? 重機ないと駄目なやつかこれ?」などと言いながらも、ちょっとしたらエイサと外してしまった。いかにも重たそうな鋼鉄のレール抱えたグレーチングをがぽっと外しちゃう姿は「素敵!抱いて!!」ってなもんでしたが。
そして側溝から引きずり出された犬は、足が泥にまみれた、痩せこけたよぼよぼの老犬。首輪もあったから元は飼い犬のはず。こんな老犬が一晩中鳴いてたんかと思うと、もうちょっと早く気がついてあげられてたらなあ、と思わずにはいられなかったですが。
ともあれ、一段落。通報者の義務として発見時間等の聴取や書類への著名をして終了。老犬は警察署に連れて行かれました。多分もう保健所に移されてるんじゃないかな?
もう少し早く気付けば、とは思うものの、朝起きて早めに動けたのはまだ良かったかな、という感じでしたね。願わくば飼い主(首輪してたし)と再会できる事を願うが、ネットで探し犬の情報を見るに、それらしき犬が見えないのは気がかりなところ。結構遠くの探し犬にはそれっぽいのもいるんだけど、はてさて。
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