OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ワルってなによ、尾藤イサオ

2014-03-21 15:54:57 | 日本のロック

ワルのテーマ / 尾藤イサオ (東芝)

今更言うまでもなく、尾藤イサオは我国最高のロックシンガーのひとりですが、特にサイケおやじが凄いと思うのは、決して歌謡曲や日本語の歌詞を軽んじていない姿勢であって、当然ながら、それは尾藤イサオに直接確かめたわけではありませんが、レコードでも実演でも、ストレートに伝わってくる歌心がピンビンに響くのは、何時如何なる場合でも普遍と思うばかりです。

さて、そこで本日掲載のシングル盤は昭和48(1973)年春に公開された映画「非情学園ワル(三堀篤監督)」の主題歌をA面に収めた、これが隠れた人気作!?

結論から言えば、その「ワルのテーマ」は作詞:山川啓介&作曲:いずみたく(!?)のクレジットを確認すれば、尚更に仰天してしまうこと必至の図太いサイケデリック歌謡ロックの決定版なんですよっ!

なにしろ、終始唸り続けるファズギターの執拗なリフ、時にはファンキーな響きさえ感じさせる電子オルガン、そして肝心の尾藤イサオのグロテスクなボーカルは、人間の宿業ともいうべき「善悪」の判断基準を根底から覆すが如き時代錯誤感に満ちているんですねぇ~~。

サイケおやじ的には、メタル期のキング・クリムゾンに僅かばかりですが、接近したような気分にさせられると言えば、失笑と顰蹙の嵐かもしれませんが、それにしも堂々としたロックビートに対峙し、グイグイとリスナーを魔性に弾き込んでしまう尾藤イサオのボーカルは強烈過ぎます。

ちなみに谷隼人主演による件の「非情学園ワル」には尾藤イサオ本人も出演していますし、他にも渥美マリ、小野進也、水島道太郎、三角八朗、安倍徹等々の個性的なキャスティングもニクイ仕上がりは、ぜひともソフト化して欲しい作品です。

また、本篇のサウンドトラック全般担当が津島利彰というのも高得点♪♪~♪

如何にもボンクラ系ハードボイルドのプログラムピクチャーとして、「教師狩り」「ネリカン同期生」という続篇が作られたほどの隠れたヒット作でありました♪♪~♪

ということで、現実的に主題歌はヒットしたとは言い難いんですが、そこは尾藤イサオという稀代のボーカリストが歌っているんですからねぇ~、あえて日本語のロック云々で評価するよりは、歌謡ロックの傑作として、ひとりでも多くの皆様に楽しんでいただきたいと、願うばかりです。

なによりも鬱陶しいばかりのファズギターの全面使用には、ド肝を抜かれるんじゃ~ないですかねぇ~♪

そしてエキセントリックな情熱歌唱の尾藤イサオ、最高ぉぉぉぉ~♪

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別ジャケの楽しみ:中村晃子の巻

2014-03-20 15:33:22 | 歌謡曲

虹色の湖:別ジャケ盤 / 中村晃子 (キングレコード)

いきなり「楽しみ」なぁ~んていうタイトルとは逆に、これは無いだろおぉぉ~~!??!?

というのが、本日掲載した中村晃子の代表的ヒット曲「虹色の湖」の別ジャケです。

だって、いくら彼女のセクシーポイントのひとつが「唇」でも、こんなカットを選んでしまったのは、何故!?

そういう思いを打ち消せませんよねぇ……。

もちろん、これはこれで何かを感じる部分も有るんでしょうが、サイケおやじはどうにも気持ちが晴れません。

しかし、それでもゲットしたのは結局、中村晃子が好きだからです。

そういう、愛の告白も含めて、やっぱり御紹介せずにはいられませんでした。

ということで、ようやく今は出張帰路の旅の途中なんですが、残念ながら今回はレコードの獲物が無く、おまけに仕事も不調とあって、些かの意気消沈……。

こんな時には例によって、PCに溜めていたスキャン画像に慰めを求めているのでした。

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早すぎる…、渡辺茂樹

2014-03-19 17:12:31 | 歌謡曲

青い果実 c/w 貝殻の夏 / ザ・ワイルド・ワンズ (東芝)

ワイルド・ワンズの渡辺茂樹の訃報に接しました。

享年63歳、まさに早すぎる逝去には、毎度の事ながら、諸行無常を感じるばかりです。

故人が芸能界の表舞台に登場したのは昭和43(1968)年の新春、人気GSのワイルド・ワンズにキーボード&ボーカル担当の新メンバーとして加入した時なんですが、リアルタイムの高校生で、アイドル系のルックスも目立ちましたからねぇ~。

忽ち人気者となって、GSブームを牽引するポイントゲッターという感もありました。

しかも、確か音大付属の高校に在学していた所為もあるんでしょうが、なかなかに音楽的なセンスも良かったんじゃ~ないでしょうか?

でなければ、キャリアを積んでいたワイルド・ワンズに弱冠16歳で入れるわけもありません。

さて、そこで本日掲載のシングル盤は昭和43(1968)年秋に発売された1枚なんですが、ジャケ写からも一目瞭然、渡辺秀樹がグループの中央に構えるショットを用いたばかりか、A面曲「青い果実」のリードボーカルを先輩の植田芳暁と分け合う企画がニクイばかりでしょう。

しかも故人のオルガンがイントロから楽曲全篇をリードするアレンジも秀逸なんですねぇ~♪

それは山上路夫の綴った歌詞は言わずもがな、加瀬邦彦がちょっぴりマイナーモードで書いたメロディーが所謂ソフトロック系の歌謡曲に仕上がった好結果と無関係ではないでしょう。

極言すれば、ワイルド・ワンズの音楽的新展開を披露した傑作として、ヒットしたのも当然が必然と思います。

しかし一方、B面収録の「貝殻の夏」は同じ作家コンビが書いた従来路線のサマーソングという、如何にもワイルド・ワンズの「らしさ」が全開の好トラックなんですが、常に保守的なサイケおやじの感覚からしても、当時はどこかしら時代遅れに聞こえたんですよねぇ……。

う~ん、今にして思えば、この頃からGSのブームは下り坂に入っていたという証なんでしょうか?

逆に言えば、アイドル歌謡の予告編っぽい「青い果実」をA面に据えたのは大正解という他はありません。

それでもワイルド・ワンズ時代の渡辺茂樹はアイドル性ばかりが優先しての人気であり、音楽性云々はGSメンバーの常として、ほとんど一般には評価されていませんでした。

実はサイケおやじが故人の凄さに接したのも、昭和50年代になってからで、主に渡辺プロ関係の歌手やアイドルのバックをやっていた頃の事です。幸運にも某アイドルのステージリハーサルを見学出来た時、その場のヘッドアレンジの上手さには、流石プロだと痛感させられましたですねぇ~~。

元ワイルド・ワンズの!?

というキャリアにハッとさせられたのも、その時でありました。

うむ、こういう才人がいたからこそ、やはり昭和歌謡曲は素晴らしかったわけです。

繰り返しますが、あまりにも早い人生の終焉に合掌、衷心よりご冥福をお祈り致します。

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別ジャケの楽しみ:小山ルミの巻

2014-03-18 11:55:16 | 歌謡曲
さすらいのギター:別ジャケ盤 / 小山ルミ (ユニオン / テイチク)

これまた先日の出張から中古ゲットの1枚で、小山ルミの代表的ヒット曲「さすらいのギター」の別ジャケット盤です。

うむ、欲を言えば、もう少し胸元のサービスを望みたいところですが、まあ、いいか。

なによりも、別バージョンのスリーヴが作られるほど、小山ルミの「さすらいのギター」はロングセラーのヒット曲になっていたという証を現代に伝えるものと思います。

ちなみに現物は真ん中から二つ折りの正方形に近い仕様で7吋のシングル盤に付属しているわけですが、実用面からすれば、見開いてピンナップに出来ますからねぇ~♪

そういう嬉しいアイテムは、如何にもアナログ盤時代の楽しさでしょう。

ということで、実は本日もこれから出張予定でありまして、目的地の街には狙い目の中古屋が!

おいおい、お前は何しに行くんだよぉぉ~。

なぁ~んていう声がはっきり聞こえますが、やっぱり仕事には楽しみが付帯してこそ、ヤル気も出るんですよ。

サイケおやじは、そんな言い訳を常に用意しているのでした。

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追悼・安西マリア… 忘れないよ…

2014-03-17 15:06:16 | 歌謡曲

恋の爆弾 / 安西マリア(東芝)

既に危篤が伝えられていたので、それなりに覚悟はしていましたが、やっぱり安西マリアの訃報は、とても悲しい……。

おそらくサイケおやじと同世代の皆様であれば、故人が溌剌と芸能界にデビューした時の衝撃は、まさに新しいタイプのセクシーアイドルスタアの登場!

そういう感慨を持ち続けて来たはずと推察するばかりです。

もちろん、ご存じのとおり、安西マリアとしての輝かしい活躍とは裏腹に、故人にとっての芸能界は決して良い思い出だけでは無かったでしょう。

しかし少なくともサイケおやじにとっては、そういう諸々も含めて、紆余曲折の安西マリアが、ただただ愛おしく、男好きのする肢体とキュートな笑みが、今も忘れられません。

そこで本日掲載のシングル盤は、安西マリアの魅力がたっぶり披露された魅惑のジャケ写も眩しい1枚♪♪~♪

どうです、この衣装にして、この佇まいこそ、安西マリアの存在意義としか言えないでしょう。

そして収録A面曲「恋の爆弾」は作詞:安井かずみ&作曲:かまやつひろし、さらに編曲:柳田ヒロという、なかなか洋楽志向の強い3人組が提供した、まさに発売された昭和49(1974)年初秋のR&Rリバイバルブームを当て込んだ狙いがミエミエの企画なんですが、失礼ながら個人的にはイマイチ、ヒネリが足りないというか、あまりのストレート勝負にハッした時にはストライクゾーンのど真ん中!?

正直、音源だけ聴いていても、なにか夢中になれないんですが、テレビ等々では、この衣装で歌う安西マリアに完全KOされましたですねぇ~~♪ もちろん当時の事ですから、テレビスタジオからの放送では、意図的にローアングルから狙った映像も実用性がありましたですよ♪♪~♪

ちなみに、これまた当時からファンの間で話題になっていたのが、このジャケ写で安西マリアのバックに入り込んでいるギタリストは何者!?

こりゃ~、完全にオジャマ虫だろうがっ!

というような怒りの発言も夥しかったんですが、当然ながら、そこには妬みや羨望があったことは言うまでもありません。

バカヤロウ~~、俺がマリアのバックで弾いてやるぜっ!

なぁ~んて、妄想虚言に煽られた皆様も、絶対に少なくはないですよねぇ~。

ということで、またまた諸行無常を実感しつつ、合掌。

サイケおやじは、安西マリアを忘れません。

安らかに……。

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色即是空

2014-03-16 16:27:52 | Weblog

親戚の葬儀参列で、本日の1枚は休載させていただきます。

合掌。

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歌謡ロックが旬だった頃の四季

2014-03-15 15:14:14 | 日本のロック

あやつり人形 / 四季 (エレック)

例によって、今回も出張旅先の中古屋でゲットしてきたのが、本日掲載のシングル盤です。

四季というバンドは決してブレイク出来なかったわけですが、ここに収録のA面曲「あやつり人形」が発売された昭和49(1974)年以来、ずぅ~っとサイケおやじの耳から離れなかったもんですから、前述した経緯で邂逅出来たのも、何かの縁と思います。

う~ん、そこはかとない甘さが滲む、まさに王道の8ビート歌謡ロックが楽しめますよ♪♪~し♪

ちなみに四季のメンバーは伊集院良二(vo,key)、三浦秀夫(g,vo)、太田祐二(g)、牧田和男(g,b,key,vo)、中浜辰己(b)、北田常光(ds) の6人組とされていますが、この「あやつり人形」を書いた牧田和男はバンド解散後に様々なセッションやライプの現場で助っ人として活躍し続けた業界の有名人でしょう。

中でも特に知られているのは、昭和50年代の海援隊のバックバンドにおける的確なベースプレイかもしれませんが、プロデューサーとしての評価も高いと言われています。

ということで、昭和50年前後はフォークもロックも歌謡曲的に解釈したバンド形態のグループが続々とメジャーデビューしていた頃で、もちろん規模は違いますが、なにか往年のGSブームに共通する勢いが感じられたものです。

まあ、そう思っているのはサイケおやじだけかもしれませんが、それにしても現在、当時はシングル盤しか出せなかったバンドやグループの音源覆刻の脆弱は……。

つまりGSだったら、相当にマイナーなグループでもオムニバス盤収録で聴ける場合がある事を鑑みれば、一応は「日本語のロック」という些か面映ゆい括りでもOKですから、ぜひとも各レコード会社協賛の纏まった復刻企画を望みたいですねぇ~~。

もちろん、そうなった四季は必ず入れて欲しいというわけです。

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フォーリーブスにはハッピーポップスがよく似合う

2014-03-14 15:39:49 | 歌謡曲

シャボンの匂いの女の子 / フォーリーブス (CBSソニー)

GSブーム真っ只中の昭和42(1967)年にデビューしたフォーリーブスの最大の特質はスマートなイメージ、言い換えれば泥臭さが極めて希薄でしたから、前述のGSとは似て非なる洋楽志向を表現出来た事かと思います。

そこで昭和44(1969)年夏に発売された本日掲載のシングル盤A面曲「シャボンの匂いの女の子」が、当時流行していたハリウッドポップス系ソフトロックの楽しみを完全に歌謡曲へと変換した傑作になったのも、フォーリーブスならではの魅力でしょう。

なにしろ明るいビート感やブラスを用いたアレンジは言わずもがな、メロディ展開そのものが、モロにグラス・ルーツフィフス・ディメンションあたりを想起させられる企図に満ちていますし、レコーディングやサウンド作りのミックスについても、それに近い味わいがあるんですねぇ~♪

これをサイケおやじはリアルタイムで聴いた瞬間、絶対に米国産ヒットポップスのカパーバージョンだと思ったほどでしたが、実は一応、フォーリーブスのオリジナルらしく、しかし作曲はミルト・ロジャースという、どうやらビリー・ボーン・オーケストラの座付きアレンジャーだったそうですよ。

そして日本語の歌詞は少女向け雑誌の「週刊セブンティーン」で募集され、遠藤千恵子の作詞にプロの片桐和子が補作していますから、今となっては懐かしい「シャボン」という言葉にも違和感がありません。

というよりも、むしろ当時でさえ、幾分アナクロな言葉の響きが、逆にフォーリープスの現代的な感性を引き立てていた感もありましたですねぇ~♪

ただし、全体の仕上がりが、やはり昭和歌謡曲としてはカッコ良過ぎたのでしょうか、ファンの間では人気が高くとも、広く大きなヒットに届きませんでした。

しかし、それがまた初期フォーリーブスだけが持っていた、不良性の無いハッピーアイドルとしての存在感を際立たせていたのも、また確かだったんじゃ~ないでしょうか。

ということで、今では洋楽ソフトロックのマニアにも大ウケしているに違いないのが、この「シャボンの匂いの女の子」かと思います。

実際、これが日本のボーカルグループによって制作されたのは、ちょっとした奇蹟と思うばかり♪♪~♪

春だからこそ、ますます楽しい名曲名唱をお楽しみ下さいませ。

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春なのに秋ひとみ

2014-03-13 15:30:17 | 歌謡曲

アンカレッジ経由パリ行き / 秋ひとみ (ユニオン / テイチク)

昭和50年代の典型的な清純派アイドルといえば、秋ひとみが忘れられません。

もちろん当時の事ですから、アイドルであれば歌の他にもテレビバラエティ番組やドラマ出演は言わずもがな、雑誌のグラビアでは水着姿も当たり前に披露していたんですが、それ何れもが決して大ブレイクしていたわけではありません。

しかし、それでも秋ひとみの人気が高かったのは、例えばバラエティ番組内でコントなんかやっていても、ツッコミやボケがどうにも素人っぽく、例えそれが演技であったとしても、所謂スレていないところが良かったですねぇ~♪

また、歌のお仕事でも、歌唱力が曖昧というか、まさに「お仕事」感覚で自らの佇まいを見せるという、逆説的なプロ意識がサイケおやじには感じられ、そんな諸々が彼女を気になる存在にしていたのです。

そして実は告白すれば、以前に人事に関わっていた時、受付や窓口業務をやらせる新人女性を選ぶ基準としていたのが、秋ひとみでありました。

だって、見た目の感じが良いんだもんねぇ~~~♪

さて、そこで本日掲載のシングル盤は昭和53(1978)年春に発売された、おそらくは秋ひとみの歌手デビュー作品でしょうが、とにかくA面の「アンカレッジ経由パリ行き」が遠距離恋愛をテーマにした爽やかモードの歌謡曲♪♪~♪

既に述べたとおり、彼女の秀でているとは言い難い歌唱力が、ここでは最大の魅力に感じられる仕上がりは素晴らしく、作詞:仙鉄也&作編曲:小杉保夫の職人技は地味ながら、それがプロの技量と思うばかりです。

あぁ~、なんとなく落ち着いて、せつなくなってしまう彼女の声質も、ルックスに合っているんじゃ~ないでしょうかねぇ~♪

ということで、ジャケ写のイメージどおりに活動してくれたのが、秋ひとみの真髄でした。

ただし数枚は出したはずのレコードには、特に大きなヒット曲も無く、映像関係作品にも代表的な出演はありませんが、サイケおやじの記憶の中では、某バラエティ番組の中で見せたパンチラが焼きついているんですよ♪♪~♪

それがなんであったのか、ど~しても思い出せない分だけ、尚更に秋ひとみが愛おしく、忘れられないアイドルになっているのでした。

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ここから始まるミーターズ中毒

2014-03-12 15:25:38 | Soul

Cabbabe Alley / The Meters (Reprise)

 A-1 You've Got To Chaged
 A-2 Stay Away
 A-3 Birds
 A-4 The Flower Song
 A-5 Soul Island
 B-1 Do The Dirt
 B-2 Smiling
 B-3 Lonesome And Unwanted Poeple
 B-4 Gettin' Funkier All The Time
 B-5 Cabbabe Alley

全てを詳らかにする事が、決して良いとは思えないサイケおやじではありますが、だからと言って、モヤモヤを残しておくのも精神衛生上、好ましくないはずです。

例えば1973年末に初めて聴いた「ディキシー・チキン」というリトル・フィートのアルバムにおける摩訶不思議なリズム的興奮や捩れたピートの快感については、その理由がど~しても知りたくてたまりませんでした。

もちろん、今となっては、それが所謂「ニューオリンズ・ファンク」と称されるセカンドラインのリズムとピートの魔法云々について、広く評論家の先生方から教えていただけるわけですが、当時は……。

しかし、そんな状況の中で一番に有用だったのが、先輩諸氏が集う楽器屋、あるいはロック喫茶の存在でありました。

そして前述の疑問の答えのひとつとして邂逅出来たのが、ミーターズと名乗るニューオリンズのバンドで、掲載したアルバムはサイケおやじが初めて聴いた彼等のLPです。

いゃ~、とにかく、A面ド頭「You've Got To Chaged」からブッ飛ばされましたよっ! だって、ここまでヘヴィなファンキーロックには接したことがありませんでしたからねぇ~~♪ カッコ良過ぎるギターのキメのリフはもちろん、演奏全篇で縦横無尽に絡み合うベースとドラムスのズレまくったピート感は、しかし結果的にビシッと合っているという摩訶不思議であり、そのリアルタイムだった1974年春のサイケおやじには未体験の恐怖と歓喜でした。

しかもその気分の高揚が冷めもしない次の瞬間、続く「Stay Away」がさらに強烈なファンキーロックの大攻勢! 渦を巻くが如きギターとベースの絡み合うキメまくり大会に加え、スットコドッコイのドラムスが超激ヤバッ! そして地味ながら味わい深いキーボードの彩りがあるんですから、ちょい聴きには単調なコーラスシャウトにも飽きがきません。

う~ん、ミーターズ、恐るべしっ!

この当時のメンバーはアート・ネヴィル(key)、レオ・ノセンテリ(g)、ジョージ・ポーター・ジュニア(b)、ジョー・モデリステ(ds,per) の4人組で、各々はニューオリンズ周辺のライプセッションやスタジオレコーディングの現場で活躍していた実力者であり、ミーターズとして集合する過程には、アート・ネヴィルの実弟であり、全国的なヒットを飛ばしていたアーロン・ネヴィル(vo) のバックバンド的な仕事から、ネヴィル兄弟がメインのグループ結成等々、後追いで知るほどに様々あるんですが、基本的にミーターズはインストバンドで、ちょうどメンフィスのスタックススタジオで働いていたブッカーT&MGs みたいな立場であったと思われます。゜

そして実際、正式にミーターズとしてレコード契約が成り立った1969年頃からはインスト曲のヒットを幾つか出していくのですが、それは追々ご紹介するとして、バンド全員が暗黙の了解によってポリリズムの演奏を遂行していくスタイルは、既にその時点で完成されていた事は間違いありません。

また、音楽的充実を追求すれば、ミーターズが自ら歌うという選択肢も当然あって、メンバー全員による掛け声~コーラスはもちろんの事、いよいよアート・ネヴィルがリードボーカリストの立場を鮮明にしたのが、このアルバム「キャベジ・アレイ」からで、中でもニール・ヤングがオリジナルの「Birds」における、そこはかとないホノボノ感が滲み出る味わいは、ちょいとクセになりますよ。もちろんバックの演奏パートの緻密さも職人技の証明でしょう。

ですから、ミディアムスローの力強い仕上がりになっている同系のボーカル曲「Lonesome And Unwanted Poeple」が、決してロックではありえないファンキー&ソウルという黒人音楽本来の要素を失っていないのは言わずもが、これこそ冒頭に述べたリトル・フィートの音楽性に伝播したフィーリング!?

さらに続けて始まる「Gettin' Funkier All The Time」にも、それをダイレクトに感じてしまいますし、オーラスに配置されたアルバムタイトル曲「Cabbabe Alley」のシンコペイトしまくった陽気なグルーヴは、丸っきりリトル・フィートであり、また後に登場するニューヨーク派のスタジオミュージシャンが集合した、あのスタッフにも感じられたノリがたまりませんよ♪♪~♪

う~ん、やっぱり基本的にミーターズはインストバンドとしての矜持がありまからねぇ~~♪

「The Flower Song」におけるソフト&メロウな雰囲気の良さには身も心もトロトロにさせられますし、トロピカルに弾みまくった「Soul Island」では、思わず一緒に、そ~だぁ~よぉ~♪ と歌ってしまうですよ♪♪~♪

そこで気になる各メンバーの演奏の実力やテクニックについては、本当に凄いの一言! ちょい聴きには簡単そうな「Do The Dirt」にしても、そのシンプルさゆえに、終始ノリを維持していく事の難しさは言わずもがな、幾分のアップテンポで相当にアブナイ綱渡りをやらかす「Smiling」にしても、そこに絶対の自信があるからこそ、各人バラバラの余裕で暗黙了解を貫いているのでしょうか。

とにかくミーターズの凄さは、聴く度に恐ろしくなるほどで、しかし同時に何度でも聴かずにはいられない中毒性が確かにあります。

ということで、ミーターズに邂逅したサイケおやじは、ここを足掛かりとしてニューオリンズ系のレコードを聴き漁り、参加人脈のあれこれを探求する奥の細道に入ってしまったんですが、もちろん既に聴いていたザ・バンドのアルバム「カフーツ」に秘められたあれこれにハッさせられ、また同時期に活動していた日本のロックバンドの中でも、加藤和彦のミカバンドや鈴木茂のバンドワゴン等々が、如何にこの路線を狙っていたのかにも愕然とさせられた記憶は今も鮮烈で、それについても追々ここで書いていく所存です。

そして皆様にも、ミーターズをぜひとも楽しんでいただきたく思っていますが、もちろんこのアルバムを彼等の代表作と断言するつもりはありませんし、実際、他にも素晴らしいレコードをどっさり残しています。

ただし、一般的なロックファンからの聴き易さというポイントにおいては、なかなかのオススメというわけです。

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