OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ここから始まるミーターズ中毒

2014-03-12 15:25:38 | Soul

Cabbabe Alley / The Meters (Reprise)

 A-1 You've Got To Chaged
 A-2 Stay Away
 A-3 Birds
 A-4 The Flower Song
 A-5 Soul Island
 B-1 Do The Dirt
 B-2 Smiling
 B-3 Lonesome And Unwanted Poeple
 B-4 Gettin' Funkier All The Time
 B-5 Cabbabe Alley

全てを詳らかにする事が、決して良いとは思えないサイケおやじではありますが、だからと言って、モヤモヤを残しておくのも精神衛生上、好ましくないはずです。

例えば1973年末に初めて聴いた「ディキシー・チキン」というリトル・フィートのアルバムにおける摩訶不思議なリズム的興奮や捩れたピートの快感については、その理由がど~しても知りたくてたまりませんでした。

もちろん、今となっては、それが所謂「ニューオリンズ・ファンク」と称されるセカンドラインのリズムとピートの魔法云々について、広く評論家の先生方から教えていただけるわけですが、当時は……。

しかし、そんな状況の中で一番に有用だったのが、先輩諸氏が集う楽器屋、あるいはロック喫茶の存在でありました。

そして前述の疑問の答えのひとつとして邂逅出来たのが、ミーターズと名乗るニューオリンズのバンドで、掲載したアルバムはサイケおやじが初めて聴いた彼等のLPです。

いゃ~、とにかく、A面ド頭「You've Got To Chaged」からブッ飛ばされましたよっ! だって、ここまでヘヴィなファンキーロックには接したことがありませんでしたからねぇ~~♪ カッコ良過ぎるギターのキメのリフはもちろん、演奏全篇で縦横無尽に絡み合うベースとドラムスのズレまくったピート感は、しかし結果的にビシッと合っているという摩訶不思議であり、そのリアルタイムだった1974年春のサイケおやじには未体験の恐怖と歓喜でした。

しかもその気分の高揚が冷めもしない次の瞬間、続く「Stay Away」がさらに強烈なファンキーロックの大攻勢! 渦を巻くが如きギターとベースの絡み合うキメまくり大会に加え、スットコドッコイのドラムスが超激ヤバッ! そして地味ながら味わい深いキーボードの彩りがあるんですから、ちょい聴きには単調なコーラスシャウトにも飽きがきません。

う~ん、ミーターズ、恐るべしっ!

この当時のメンバーはアート・ネヴィル(key)、レオ・ノセンテリ(g)、ジョージ・ポーター・ジュニア(b)、ジョー・モデリステ(ds,per) の4人組で、各々はニューオリンズ周辺のライプセッションやスタジオレコーディングの現場で活躍していた実力者であり、ミーターズとして集合する過程には、アート・ネヴィルの実弟であり、全国的なヒットを飛ばしていたアーロン・ネヴィル(vo) のバックバンド的な仕事から、ネヴィル兄弟がメインのグループ結成等々、後追いで知るほどに様々あるんですが、基本的にミーターズはインストバンドで、ちょうどメンフィスのスタックススタジオで働いていたブッカーT&MGs みたいな立場であったと思われます。゜

そして実際、正式にミーターズとしてレコード契約が成り立った1969年頃からはインスト曲のヒットを幾つか出していくのですが、それは追々ご紹介するとして、バンド全員が暗黙の了解によってポリリズムの演奏を遂行していくスタイルは、既にその時点で完成されていた事は間違いありません。

また、音楽的充実を追求すれば、ミーターズが自ら歌うという選択肢も当然あって、メンバー全員による掛け声~コーラスはもちろんの事、いよいよアート・ネヴィルがリードボーカリストの立場を鮮明にしたのが、このアルバム「キャベジ・アレイ」からで、中でもニール・ヤングがオリジナルの「Birds」における、そこはかとないホノボノ感が滲み出る味わいは、ちょいとクセになりますよ。もちろんバックの演奏パートの緻密さも職人技の証明でしょう。

ですから、ミディアムスローの力強い仕上がりになっている同系のボーカル曲「Lonesome And Unwanted Poeple」が、決してロックではありえないファンキー&ソウルという黒人音楽本来の要素を失っていないのは言わずもが、これこそ冒頭に述べたリトル・フィートの音楽性に伝播したフィーリング!?

さらに続けて始まる「Gettin' Funkier All The Time」にも、それをダイレクトに感じてしまいますし、オーラスに配置されたアルバムタイトル曲「Cabbabe Alley」のシンコペイトしまくった陽気なグルーヴは、丸っきりリトル・フィートであり、また後に登場するニューヨーク派のスタジオミュージシャンが集合した、あのスタッフにも感じられたノリがたまりませんよ♪♪~♪

う~ん、やっぱり基本的にミーターズはインストバンドとしての矜持がありまからねぇ~~♪

「The Flower Song」におけるソフト&メロウな雰囲気の良さには身も心もトロトロにさせられますし、トロピカルに弾みまくった「Soul Island」では、思わず一緒に、そ~だぁ~よぉ~♪ と歌ってしまうですよ♪♪~♪

そこで気になる各メンバーの演奏の実力やテクニックについては、本当に凄いの一言! ちょい聴きには簡単そうな「Do The Dirt」にしても、そのシンプルさゆえに、終始ノリを維持していく事の難しさは言わずもがな、幾分のアップテンポで相当にアブナイ綱渡りをやらかす「Smiling」にしても、そこに絶対の自信があるからこそ、各人バラバラの余裕で暗黙了解を貫いているのでしょうか。

とにかくミーターズの凄さは、聴く度に恐ろしくなるほどで、しかし同時に何度でも聴かずにはいられない中毒性が確かにあります。

ということで、ミーターズに邂逅したサイケおやじは、ここを足掛かりとしてニューオリンズ系のレコードを聴き漁り、参加人脈のあれこれを探求する奥の細道に入ってしまったんですが、もちろん既に聴いていたザ・バンドのアルバム「カフーツ」に秘められたあれこれにハッさせられ、また同時期に活動していた日本のロックバンドの中でも、加藤和彦のミカバンドや鈴木茂のバンドワゴン等々が、如何にこの路線を狙っていたのかにも愕然とさせられた記憶は今も鮮烈で、それについても追々ここで書いていく所存です。

そして皆様にも、ミーターズをぜひとも楽しんでいただきたく思っていますが、もちろんこのアルバムを彼等の代表作と断言するつもりはありませんし、実際、他にも素晴らしいレコードをどっさり残しています。

ただし、一般的なロックファンからの聴き易さというポイントにおいては、なかなかのオススメというわけです。

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