OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

悪魔のようなあいつの夢

2013-06-23 15:39:19 | 日本のロック

男たちの夢 / 井上堯之バンド (ポリドール)

いくら中年者のお遊びグループとはいえ、バンドがバンドである以上、バンドのテーマ曲も必要だろう!?

そういうジコマンな判断から、おやじバンドの現在進行形が本日掲載のシングル盤A面に収録の「男たちの夢」であります。

うむ、まずは曲タイトルが永遠に心に響く理想のハードボイルドであり、しかも皆様ご存じのとおり、これは沢田研二主演のテレビドラマとして昭和50(1975)年6~9月に放送されていたカルトな名作「悪魔のようなあいつ(TBS)」の劇伴サントラなんですから、同時代を体験された皆様にも、きっと共鳴いただけるものと思いますが、裏を返せば、やっぱりジコマンかも……。

……と、自嘲している次第です。

しかし井上バンドの演奏は流石に悪魔のようなあいつみたいにカッコ良くて、ファンキー&ハードなグルーヴがビシッとキマっていますよ。

特に終始、タイトなビートの炸裂を聞かせるドラムスの潔さとクールに熱いキーボードの鬩ぎ合いには、何度聴いても、やるしかないっ!

そういう気持に突進させられるものがあります。

ちなみに当時の井上バンドは井上堯之(g) と大野克夫(key) を中心にしつつも、メンバーが些か流動的だった頃で、これを制作したメンバーの確定はちょいと難しいのですが、恐らくは速水清司(g) と田中清司(ds) の新参加、そして岸部修三=現・岸部一徳(b) の存在が曖昧なところかと思います。

と書いたのも、初期のレギュラーだった原田裕臣(ds) がその頃に脱退し、ミッキー吉野グループに移籍!?

また、同じく岸部修三が前述のドラマ「悪魔のようなあいつ」にちょい役で出演した事から俳優への転身を図る等々、まあ、基本的には両人とも、井上バンドでの音楽性の違いから別な方向性を模索したという結果なんでしょうが、それゆえに以降の井上バンドでは大野克夫が音楽監督の地位をますます強め、最終的には大野克夫バンドに名跡変更(?)するのですから、さもありなんでしょうか。

ここでも大野克夫の作編曲とキーボードワークは冴えまくりですし、ファンキーなドラミングと控えめなスラップ系ベースのコンビネーションのアンバランスを逆手に活かしたような手法は、まさに職人技としか言えません。

ですから、おこがましくもトーシロがこれをやらせていたただく以上、キーボードは分業の二交代制が必須であり、幸いにもおやじバンドではベーシスト氏がキーボードもOKなので、サイケおやじの相方のギタリスト氏がベースに配置転換しての猛練習というわけです。

ちなみに件のテレビドラマ「悪魔のようなあいつ」は説明不要かと思いますが、昭和43(1968)年に発生して世間を騒がせた「三億円強奪事件」を扱い、それが放送リアルタイムの同年末に時効を迎える未解決事件であったことから、なんとっ!

その犯人を沢田研二が演じるという着想が凄かったですねぇ~~~!

しかも劇中にはベッドシーン、レイプや同性愛も含め、ちょいと書くことが出来ないようなリアルな現実がテレビドラマとは思えぬほど赤裸々に演出され、これは現在の放送規定では完全に無理というアクの強さがあったんですよっ!

そして沢田研二の他に藤竜也、若山富三郎、篠ひろ子、三木聖子……等々、出演者も多士済々、とにかく味わい深い役作りを見せてくれますし、荒木一郎やデイブ平尾までもが登場するという、しぶとい演出は賛否両論だった事も特筆すべきでしょう。

これは以前、DVD化されましたので、お若い皆様にもご覧いただければ、当時の爛熟していた昭和文化の一端が追体験出来るのではないと思いますが、原作が阿久悠というのも、ちょいと驚かれるかもしれません。

ということで、「悪魔のようなあいつ」は毎週がハードボイルドでありましたし、今となってはトホホのギャグも懐かしいところではありますが、実在の事件の時効が迫る時の流れに合わせたドラマ展開がある以上、その劇伴にさえも油断は禁物!

平たく言えば、リアルタイムの流行を分かり易く演じつつ、予測不能な未来と不条理な過去を重ね合わせるパワーが求められていたんじゃ~ないでしょうか?

その意味で、今も井上バンドのサントラ音源が立派に通用するは当然であり、この「男たちの夢」が例え「中年おやじの夢」になろうとも、それはそれで許しを乞う他はありません。

最後になりましたが、これがオープニングのテーマ曲であれば、ラストテーマはビーチボーイズが1965年夏に出したアルバム「サマー・デイズ」に収録のギターインスト「Summer Means New Love」を演じる事が、既にサイケおやじの我儘として了解された件を付け加えさせていただきます。

コメント
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