■風に吹かれていこう / やまがたすみこ (日本コロムビア)
人間が平等だなんて事は神様でも言わないし、それどころか、とんでもなく不公平な事をやってくれる現実は、この世の理だと思います。
例えば本日の主役、やまがたすみこは綺麗な歌声の美人であり、しかも自分で作詞作曲が出来るほどの才能に恵まれていましたから、昭和48(1973)年春に17歳でメジャーデビューした瞬間から、アイドルスタアとしても大ブレイク!
とにか本日掲載のデビューシングル盤A面曲「風に吹かれて行こう」はラジオからも流れまくった爽やかモードの歌謡フォークであり、なによりも本人がテレビ出演して歌う時の輝きは、過言では無く鮮烈でした♪♪~♪
そして忽ちにして人気は沸騰!
歌謡フォークが全盛期でもありましたから、芸能誌はもちろん、音楽誌にも彼女のピンナップやポスターが付録になっていましたし、当たり前の風景として、レコード屋のディスプレイも当時は彼女がメインになるほどでした。
それはサイケおやじの高校時代でも、同好会フォーク組は男子女子が一緒になって、この「風に吹かれていこう」を楽しく歌っていた情景の記憶でもあり、今となっては片意地なツッパリから、そこに入りたくても入れない自らの憧憬でもあったのですが……。
しかし、やまがたすみこが自ら書いた歌詞は、決してお気楽なものではなく、ホロ苦くもあり、またシニカルな視点も流石はプロと感服させられるものを含んでいると思います。
結局、デビュー盤にして、それが形作られていたからこそ、やまがたすみこは1970年代のニューミュージックを代表するひとりとして、芸能史に名前を刻んだわけですし、作られたレコードを愛聴しているファンが現在でも多いという実情は認めざるをえません。
告白すれば、サイケおやじが中古ではありますが、このシングル盤をゲットしたのは、そんな自分に言い聞かせる言い訳という、些か恥ずかしい行為であって、素直に好きと告白出来ない、内気な片思いでありました。
ということで、やまがたすみはご存じのとおり、アレンジャーの井上鑑と結婚して芸能界を去りましたが、今も別の芸名で童謡を歌っているという噂もありますので、テレビに登場して欲しいですねぇ~、ぜひともっ!
また、冒頭に述べたとおり、ルックスも歌の実力も音楽性も抜群だった彼女は、神様の不公平さが良い方向に作用したという嫉妬は否定出来ないものの、同時に我々は、神様が与えた彼女への天才の恩恵に感謝するべきと、サイケおやじは思うのですが、いかがなものでしょう。
う~ん、しかし心残りは、一度も彼女のライプステージに接することが出来なかった事ですねぇ。
きっと爽やかで和みの空間が、そこに出来上がったはずと推察するばかりです。