OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

無敵の寺内タケシ

2010-03-25 14:00:17 | 日本のロック

テリーのテーマc/wテスト・ドライバー / 寺内タケシとバニーズ (キング)

やっばりエレキと言えば寺内タケシが絶対です。

とにかくベンチャーズによって火がついた我国のエレキブームも、しかし寺内タケシが居なければ決して燃え広がらなかったでしょうし、それは加山雄三の傑作映画「エレキの若大将」でも明らかですが、極言すれば、後のGSブームが爆発することもなかったでしょう。

つまり寺内タケシという天才ギタリストがスタアとなったことで、ロックバンドで一番目立つのはボーカリストではなく、ある意味ではギタリスト! そういう構図が世界に先駆けて出来あがったのです。

それは紆余曲折の末にブルージーンズを脱退し、ついに自らの新バンドになったバニーズを結成した昭和41(1966)年になって、特に鮮明となりました。本日のご紹介は、そのデビューアルバム「バニーズ登場」からシングルカットされた素晴らしいエレキインストの決定版!

メンバーは寺内タケシ(g) 以下、黒沢博(g)、興石秀之(g)、荻野達也(org)、小野肇(b)、井上正(ds) という精鋭揃い! 時代の流れで前述のアルバムにはメンバー各々が歌ったボーカル曲も入っていますが、やはり親分のギターに比べると、失礼ながら幾分の魅力に欠けているのが、正直な感想でしょう。

と言うよりも、この当時、寺内タケシのギターと互角に対峙出来るボーカリストが存在しなかったというのが、本当のところかもしれません。

そうした事情は、例えぱ同時期、ジェフ・ペックが在籍していたヤードバーズあたりもそうでしたから、後にジェフ・ペックが独立して自分のバンドを結成した時、ロッド・スチュアートという強力なボーカリストを引き入れた事情も納得出来るのです。

しかし結果的にロッド・スチュアートに去られたことで些かの迷い道となったジェフ・ペックが、例えば「哀しみの恋人達」のような、自らのギター中心主義に基づくインスト路線で復活したのは全くの正解!

それはロックの歴史の中で、ジミー・ペイジにはロバート・プラントのレッド・ツェッペリンが大ブレイクした事実でも証明されていますが、ただしエリック・クラプトンやジミヘンのようにボーカルをギターでフォローし、尚更にインパクトの強いものにするスタイルは、全てを自らが演じることのみによって成立するものでしょう。

ですから寺内タケシが頑なにエレキインストを貫いた姿勢は時代遅れ!? なぁ~んていう発言は、完全に的外れのバカ野郎だと思う他はありません。

それは実際、このシングル盤B面収録の「テスト・ドライバー」を聴けば、グウのネも出ないはずです。

ド迫力のドラムスをイントロにオルガンとベースで醸し出される不穏な空気をブッ飛ばすのが、寺内タケシの強烈なエレキです。あぁ、この日本民謡的な曲メロをグッと重心の低いロックのグルーヴに変換させるフィーリングは唯一無二ですし、千変万化のアドリブパートの凄さは、当時の世界中のギタリストが束になっても敵わない境地と断言して、後悔しません。

いゃ~、本当に凄い!

特に2コーラス目、低~高音域を縦横無尽に駆け抜ける嵐のフレーズは、テクニックもさることながら、その閃きが神の領域ですよっ!

もちろん、本家「Terry-sh」のフレーズも出まくっていますが、必死で追走するバンドの面々の頑張りも良い感じ♪♪~♪

ですからA面の「テリーのテーマ」が、そのハートウォームな曲メロを存分に活かしきった名演になっているのは言わずもがな、後に「運命」のメガヒットで世界を震撼させる布石が完全に出来あがったというわけです。

最後に告白しておきますが、高校進学直前の春休み、ついにエレキを手にしたサイケおやじは、既に時代はニューロック、あるいはアコースティックギターであるにも関わらず、このシングル盤を聴きながら「テリーのテーマ」のメロディをコピーしたり、これからはバンドに入れてもらって、バリバリにエレキのバカ大将をやる決意を固めていたのですから、今となっては思わず自嘲です。

しかし当時は本当に真剣でしたし、だからといって寺内タケシの偉大さが失われるなんてことは絶対に無いでしょう。

これは真実!

コメント (3)
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